この立地に、この建物。センスいいなあと再脱帽。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

この立地に、この建物。センスいいなあと再脱帽。

来年で10周年を迎える〈横須賀美術館〉をいま改めて訪ねてみる。「周辺環境との調和」とか「地元に開かれた」とか、公共建築ではお題目化している考え方が偽りなく実現していることにリスペクト!

手前側が、道路1本を境に森とつながる〈山の広場〉。展望台は出入り自由だ、太っ腹。
三浦半島を海沿いに巡るおなじみのドライブコースに面しているが、建物ははるかかなた、ガラス張りの店舗かコンドミニアムのように見える。道路から建物までがなだらかに傾斜した芝生の庭になっていて、まずその余裕にちょっと驚き、同時に心はなごむ。ここは70・4ヘクタールもある県立観音崎公園の一角でもあり、歩く限りは敷地内を自由に行き来できる。開館前から地元の人たちが犬の散歩をしていたり、外に並んだ椅子で新聞を読んでいたり。

前庭の傾斜に導かれてさらに上っていくと建物の裏手はちょっとした森になっていた。照葉樹の目立つ薮の濃さと暗さは本格的だ。その散策路からウォーキングの人たちがふらりと現れては通り過ぎていく。海側を振り向けば、小高い丘から見渡す浦賀水道。大小さまざま、働く船たちがキチンと航路を守って行き交う様子はなかなか飽きない。
広々した前庭は〈海の広場〉と呼ばれる。
前庭の傾斜に導かれてさらに上っていくと建物の裏手はちょっとした森になっていた。照葉樹の目立つ薮の濃さと暗さは本格的だ。その散策路からウォーキングの人たちがふらりと現れては通り過ぎていく。海側を振り向けば、小高い丘から見渡す浦賀水道。大小さまざま、働く船たちがキチンと航路を守って行き交う様子はなかなか飽きない。
地下の常設展示スペースだが大きな穴で採光していて十分明るい。
美術館が建つ以前にも人々はこうして散歩し、海の眺めを楽しんでいただろう。そんな地元の日常を阻害することなくこの館は建てられ、やがて文化の薫りが新しく立ちのぼり、遠くから客が訪れ、現在のように定着したのだなあ、と自然にわかってしまうところがこの建築の優れたところだ。