建築と展示内容、ともに味わい深くて心に染みる。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

建築と展示内容、ともに味わい深くて心に染みる。

伊勢志摩サミット前の海も空も青々と広がる環境に〈海の博物館〉を訪ねた。クルマは最新のジャガーXF。海沿いのドライブルートの素晴らしさにも改めて感心させられた。

後ろの建物が展示棟。やや小高い土地にあって、すぐ先に海が見える気持ちの良い環境。
伊勢界隈の有名建築としての筆頭格、内藤廣のブレークのきっかけになったことはよく知られている。全部で6棟の建物が完成するまで7年以上もの時間がかかったこと、厳しい低予算の中、構造にこだわり丈夫な建物に仕上げたことなどエピソードも多い。もともと収蔵品の数が多い上に現時点でも国指定重要有形民俗文化財が約6900点もある本気な博物館だ。館長からの依頼は「200年もつ建物に」ということだった。外観は黒塀に瓦屋根のシンプルなものだが館内は木造船の構造そのもののようで密度が高い。
何となく、いつでもお祭りのような雰囲気漂う展示類。
昨年秋に訪れた気仙沼のリアスアーク美術館もそうだったが、ここではさらに本格的な水産業関連の展示を見ることができる。カツオの1本釣り、鰹節のできるまでなどは手作りのフィギュアによる模型展示で、特に昔の地引き網漁の様子が一目でわかる大型ジオラマは素晴らしい。地元の水産業を知ってもらい盛り上げたいというのはもちろんだが、それゆえに漁業の衰退への危惧、海洋汚染に対する指弾といったシビアな問題提起にも手を抜いていない。海民と彼らが呼ぶ人々が、ただニコニコ笑ってもてなしているだけじゃないんだよ、ということなのだ。
行く際にはゆっくり時間をかけて見ることをオススメしとく。