Chill CARS|流転のメーカーが生み出した、真面目で寡黙な小型大衆車。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

Chill CARS|流転のメーカーが生み出した、真面目で寡黙な小型大衆車。

『カーサ ブルータス』2021年9月号より

現在、フランスには3つの大きな自動車会社が存在するが、かつては第4のメーカー〈シムカ〉があった。

シムカ 1100
イタリアの〈フィアット〉をフランスで生産するため、1934年に設立された〈シムカ〉は、戦前・戦後を通じてフィアット系の技術でクルマを開発。1967年に登場した《シムカ1‌100》も、〈フィアット〉による当時最新鋭のメカニズムを踏襲していた。

60年代〜70年代のフランス車には、アクが強いデザインのクルマが多い。しかしイタリアとの国際結婚で生まれた〈シムカ〉のクルマは、デザイン・設計も堅実だった。《シムカ1‌100》では、実用主義や快適さを旨とする小型大衆車らしく、リアには実用性が高いハッチゲートを設置。乗り心地の良さ、燃費の良さもフランス車の流儀通りだった。

〈シムカ〉は、その後アメリカの〈クライスラー〉から買収を受けるも、同社の経営危機により売却。これを〈プジョー〉が救済し、ブランド名を〈タルボ〉と改称したが自社内のクルマと競合するため、80年代に販売を終了。〈シムカ〉の歴史も幕を閉じた。このように、〈シムカ〉は概ねどこかの傘下にあった。まさに、流転のメーカーだったのである。

華やかさよりは寡黙で真面目さが勝る〈シムカ〉は、知名度の低さが惜しいほどに、佳作車が多い。小型大衆車に必要な要件を押さえた《シムカ1‌100》もまた、隠れた傑作小型車として、今こそ見直されるべき一台であろう。
丸いヘッドライトと、それに沿うボンネットの開口線が、驚いたような表情。
スポークが完全に3等分されたステアリングは、1970年代以降のクルマでは珍しい。
タン色のビニールレザーシートは座り心地も快適。後席足元も広い。内側ドアノブも類を見ない形状。
ストンと切れた短いテール。ハッチゲートは、緩やかでも急でもない、独特の角度。

country: France
year: 1967-80
seats: 5
size: L2,520×W1,590×H1,460mm
price: approx 1,800,000 yen

special thanks to Hironori Mitsui
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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