DESIGN
企画・松井亮、選書・幅允孝。10種類の個性的な本棚が並ぶ、期間限定のライブラリー。
『カーサ ブルータス』2023年1月号より
December 14, 2022 | Design, Architecture, Culture | a wall newspaper | photo_Kenya Abe text_Takahiro Tsuchida
自然光が差し込む、リノベーションを控えたビルの1フロア。気鋭の建築家と選書家が、彫刻的な本棚で実現したこととは?
かつてはウォーターフロントと呼ばれもてはやされるも、近年は話題に乏しい東京・芝浦。周辺の湾岸地区同様にタワーマンションが増えているが、現役の物流倉庫も残る不思議なエリアだ。その一角にある1986年竣工の五色橋ビルで『LIBRARIES|鎖でつながれた本と本棚と太陽』展が開催中。企画や展示デザインを建築家の松井亮、本棚に並ぶ本のセレクトを幅允孝が手がける。
松井亮(以下松井) このビルのリノベーションを行う〈リソーコ〉さんから、リノベーションする上でのショールームの企画を相談されたのが始まりでした。しかし、入居する企業によって空間の使い方は違うので、展覧会形式で空間の使い方から提案したいと考えたんです。実際にビルの8階を見てみると、東から西までの連続窓があり、太陽の光が1日中きれいに入る。昔、図書館では太陽光だけで本を読んでいたという話を思い出し、期間限定のライブラリーのような展示を発想しました。
── 展覧会タイトルにある「鎖でつながれた」の意味とは?
松井 ヘンリー・ペトロスキーの『本棚の歴史』という本によると図書館の原型は修道院で、当時の本は手写で貴重だったため鎖でつないで管理していたと書いてあります。安全上、図書館では火が使えず本棚は窓のそばに置かれ、書見台でしか本が読めませんでした。これは17世紀以降も続き、人間が本を読んだ歴史と自然との関係が神秘的で面白いなと。では本に鎖のない現在、人が特定の場所で本を読むのはどんな状態なのか? 本棚に居場所があって、寛ぎながら本が読めるのは、新しい図書館のきっかけになると考えました。
松井亮(以下松井) このビルのリノベーションを行う〈リソーコ〉さんから、リノベーションする上でのショールームの企画を相談されたのが始まりでした。しかし、入居する企業によって空間の使い方は違うので、展覧会形式で空間の使い方から提案したいと考えたんです。実際にビルの8階を見てみると、東から西までの連続窓があり、太陽の光が1日中きれいに入る。昔、図書館では太陽光だけで本を読んでいたという話を思い出し、期間限定のライブラリーのような展示を発想しました。
── 展覧会タイトルにある「鎖でつながれた」の意味とは?
松井 ヘンリー・ペトロスキーの『本棚の歴史』という本によると図書館の原型は修道院で、当時の本は手写で貴重だったため鎖でつないで管理していたと書いてあります。安全上、図書館では火が使えず本棚は窓のそばに置かれ、書見台でしか本が読めませんでした。これは17世紀以降も続き、人間が本を読んだ歴史と自然との関係が神秘的で面白いなと。では本に鎖のない現在、人が特定の場所で本を読むのはどんな状態なのか? 本棚に居場所があって、寛ぎながら本が読めるのは、新しい図書館のきっかけになると考えました。
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