FASHION
三宅一生の“一枚の布”をまとうマネキンとは?|石田潤の In the mode
| Fashion, Design | casabrutus.com | text_Jun Ishida editor_Keiko Kusano
〈国立新美術館〉で開催中の『MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事』。会場を入った途端に「さすが!」と思わせた展示の仕掛けとは?
初めまして。編集者の石田潤です。ファッションと建築やアートの間を行き来しながら編集したり執筆させていただいたりしています。本連載コラム「In the mode(イン・ザ・モード)」では、デザインの視点から気になるファッショントピックスについて書いてゆきたいと思います。初回は、三宅一生の展覧会について。
〈国立新美術館〉で開催中の『MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事』。三宅一生の約45年にわたる創作の代表作が一同に会し、プリーツマシーンの実演や田中一光とのコラボレーション作品の展示を始め、佐藤卓による会場デザイン、中村勇吾xコーネリアスによる映像インスタレーションなど見どころ満載の展覧会だ。
〈国立新美術館〉で開催中の『MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事』。三宅一生の約45年にわたる創作の代表作が一同に会し、プリーツマシーンの実演や田中一光とのコラボレーション作品の展示を始め、佐藤卓による会場デザイン、中村勇吾xコーネリアスによる映像インスタレーションなど見どころ満載の展覧会だ。
なかでも私が目を惹きつけられたのは、吉岡徳仁による〈グリッド・ボディ〉のインスタレーション。〈グリッド・ボディ〉は、吉岡がこの展覧会のためにデザインした人体(マネキン)だ。
人体は、主役である服の影に隠れた目立たない存在だが、そこにはデザイナーやブランドの個性が現れている。店舗ディスプレイでは各ブランドがこだわりの人体(ボディ)をオリジナルで作成することもしばしばで、服をテーマとした展覧会では、服を着せ付ける人体のデザインが、展覧会全体のムードを方向づけるといってもよいほどだ。
人体は、主役である服の影に隠れた目立たない存在だが、そこにはデザイナーやブランドの個性が現れている。店舗ディスプレイでは各ブランドがこだわりの人体(ボディ)をオリジナルで作成することもしばしばで、服をテーマとした展覧会では、服を着せ付ける人体のデザインが、展覧会全体のムードを方向づけるといってもよいほどだ。
吉岡は、三宅のものづくりの根底に流れる考え方を、初期の70年代の服を通して伝える「ルームA」と、身体とそれを覆う服の関係性を問うた80年代の実験的な作品をインスタレーションとして見せた「ルームB」で、素材の異なる2種類の人体を作成した。丹前や刺し子など日本の伝統的な服飾文化を取り入れたコレクションも並ぶ「ルームA」では特殊なダンボール紙を、プロダクトデザインの製法を取り入れシリコンなどのフューチャリスティックな素材の作品を中心とした「ルームB」では、透明な樹脂を使って人体を作成している。
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石田潤
いしだ じゅん 『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。
