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【大阪・関西万博】海洋汚染のリアルに迫る、坂 茂×原研哉の〈BLUE OCEAN DOME〉。

| Design, Architecture, Culture, Food | casabrutus.com | text_Megumi Yamashita   editor_Keiko Kusano

大阪・関西万博の西ゲートゾーンに位置する大小3つのドームが連なった〈BLUE OCEAN DOME〉。坂 茂の建築と原研哉による展示が織りなす、渾身のメッセージとは?

建築は坂 茂が担当。左から〈ドーム A〉は竹、〈ドーム B〉はカーボンファイバー、〈ドーム C〉は紙管を構造体に使っている。photo_Satoshi Nagare
建築は坂 茂が担当。左から〈ドーム A〉は竹、〈ドーム B〉はカーボンファイバー、〈ドーム C〉は紙管を構造体に使っている。photo_Satoshi Nagare
万博西ゲートの近くにある〈BLUE OCEAN DOME〉は、ヤシノミ洗剤など環境に配慮した製品で知られる〈サラヤ〉が支援するNPO法人〈ZERIジャパン〉(Zero Emission Research and Initiative)協賛のパビリオンである。坂 茂が設計した3つのドームは、外観こそ白い膜に覆われているが、内観は、竹集成材、カーボンファイバー、紙管と、各ドームが採用する先進的な素材と構造をそのまま見せるデザインになっている。
異なる素材が構造体になった3つのドームは、太陽工業製造の膜で覆われている。photo by Taiki Fukao
異なる素材が構造体になった3つのドームは、太陽工業製造の膜で覆われている。photo by Taiki Fukao
「ドームは外と中が一体となった建築と展示であり、廃棄物を最小限にするため、継続活用を前提にした軽量で移築がしやすい設計になっています。万博終了後はモルディブで進行中の海洋リゾートへの移築が決まっています」
(坂 茂)
展示は原研哉が担当。3つのドームを使い、精巧な展示がダイレクトにメッセージを伝える。photo by Taiki Fukao
展示は原研哉が担当。3つのドームを使い、精巧な展示がダイレクトにメッセージを伝える。photo by Taiki Fukao
そのドームの大空間を生かした展示を手掛けたのはデザイナーの原研哉である。

「未来を考える万博ですから、本来はもっと若い人にやってほしいですが、60代の今だから到達できたこともあり、伝えたいこともあります」(原研哉)

料理研究家・土井善晴による「飲み物」や、津村耕佑がデザインしたユニフォームも加わり、日本を代表する円熟のクリエイターたちがタッグを組み、五感を通してメッセージを発信する。

水の惑星である青い地球の未来のために

〈ドーム A〉には「初めて見るような水」を観察する装置が設置され、絶えず水が循環する。photo by Taiki Fukao
〈ドーム A〉には「初めて見るような水」を観察する装置が設置され、絶えず水が循環する。photo by Taiki Fukao
メッセージは「海は気候変動やプラスチック汚染で危機的状況にある」ということ。このままでは2050年には海洋プラスチックの量が、魚の量を超える見通しへの警告である。プラスチックはすでに微細化して生態系に入り込み、食物連鎖を通してヒトの体内にも還流している。その恐ろしい事実は、もはや陰謀説扱いしている場合ではない。

「約70%が海で“水の惑星”とも称される地球、海の生態系が崩壊したらその未来はありません。今、その対策を始めないと間に合わないのです」(原研哉)

その深刻さに対峙した原は、既に建設が決まっていた3つのドームを活用し、三部構成でメッセージを伝える展示をデザインした。
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