青森 “人情グルメの旅” 弘前編|行くぜ、東北。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青森 “人情グルメの旅” 弘前編|行くぜ、東北。

青森を、いや東北を代表する名酒場〈土紋(どもん)〉〈しまや〉を擁する弘前。東北最古の喫茶店〈万茶ン(まんちゃん)〉に津軽そばで有名な百年食堂〈三忠(さんちゅう)食堂本店〉など時代を生き抜いた名店が、今も地域の人々の暮らしに根付いています。

映画『津軽百年食堂』のロケ地にもなった〈三忠食堂本店〉。焼きぼしでダシをとる「津軽そば」が名物。
青森県南西部にある弘前市は、りんごと桜で有名な町。全国一の生産量を誇る青森のりんごの4割近くが弘前市で栽培され、春には弘前城の城郭を彩るみごとな桜を目当てに日本各地から観光客が訪れる。が、それだけでは、弘前の魅力を語り尽くすことはできない。名酒場や歴史ある食堂、喫茶店が今も元気で、旅人の心を惹きつけてやまない。
〈居酒屋 土紋〉の店主・工藤清隆さん、賀津子さん夫妻。「弘前の父母」と慕って、店に通う観光客も。
弘前を代表する酒場が〈居酒屋 土紋〉。こちらはイカのミンチで作る「いがめんち」や干しダラに卵を絡めた「たらたま」など、食べ継がれてきた土地の味を求め、全国からお客が訪れる。弘前ねぷたの凧絵が飾られたカウンターに座れば、旅気分が一気に盛り上がり、ご主人の工藤清隆さん、女将の賀津子さんの飾らぬ人柄にも心癒される。酒は地元弘前の蔵元〈三浦酒造〉のものだけを揃え、代表銘柄〈豊盃〉は日本一の品揃え。ここでしか飲めない限定酒も含め、〈豊盃〉目当てに通う日本酒好きも多い。
(写真右から時計回りに)いがめんち500円、自家製いかわた醤油漬け200円、たらたま500円。酒が進む肴が揃う。
「ママ」こと嶋谷啓子さん。ホーローのバットに盛られカウンターに並ぶ料理は1品400円~。2014年「行くぜ、東北。」夏CM(「弘前の夜」篇)の舞台となった。
〈居酒屋 土紋〉と並び称される弘前の名店が、郷土料理の店〈しまや〉。カウンターに並ぶおかずは、ナスのしそ巻きや身欠きにしん、毛豆やわらびなど、やはり食べ継がれてきた土地の味。魚介も青森のウエストコースト、つまり日本海側の漁港からとびきりを仕入れる。「ママ」と呼ばれ親しまれる店主の嶋谷啓子さんが、津軽弁の軽快なトークでお客さんを沸かせながら、手早く作る料理はどれも絶品。このライブ感を楽しみたくて、わざわざ早い時間に訪れる常連も多い。注文を受けてから炉辺で焼く焼き魚や、柔らかな昆布でごはんを包んだ若生おにぎりも必食。創業50年の店だが、磨き上げられた店内にすすけた雰囲気は皆無。常に清々しい空気で満ちている。
弘前のりんごを使った焼きりんごのアイスクリーム添え833円、太宰ブレンド・昭和の珈琲481円。
津軽藩の城下町として栄え、明治、大正期に建てられた洋風建築も残る弘前は、県内一ハイカラな町でもある。早くから喫茶文化が栄えた町で、土手町の〈土手の珈琲屋 万茶ン〉は東北最古の喫茶店として知られている。創業は1929年で、当時は作家の太宰治や画家の阿部合成も来店した。太宰が愛したコーヒーの味を再現した「太宰ブレンド・昭和の珈琲」は店の名物。特産品のりんごを使った自家製スイーツのほか、創業当時から提供しているあんみつなどの甘味も楽しめ、昭和の喫茶店の雰囲気を満喫できる。
希少な焼きぼしで作る津軽そば530円。そばは柔らかく、スープは香りの奥にほのかな香ばしさを感じる。
もうひとつ、弘前で必ず食べたいのが「津軽そば」。すりつぶした大豆をつなぎに使った珍しいそばで、津軽地方に伝わる郷土料理のひとつだ。弘前で100余年続く〈三忠食堂本店〉では、焼きぼし(頭とワタを取ったいわしを焼いて干したもの)と昆布でダシをとる「津軽そば」が食べられる。白い暖簾がさがった小さな店は、昭和のワンシーンを撮影する映画のセットのようだが、昼間は界隈の勤め人で込み合う現役の店。こんな味が、店が地元の人に愛され、守られているのが弘前の魅力だ。

居酒屋 土紋

青森県弘前市代官町99
TEL 0172 36 3059。17時30分~23時。日曜休。

しまや

青森県弘前市元大工町31-1
TEL 0172 33 5066。15時~22時30分。日曜休(不定休あり)。

土手の珈琲屋 万茶ン

青森県弘前市土手町36-6
TEL 0172 35 4663。10時~19時。不定休。

三忠食堂本店

青森県弘前市和徳町164
TEL 0172 32 0831。11時~19時30分。火曜休。

アクセス

東京駅から東北新幹線で新青森駅まで約3時間10分〜30分。JR奥羽本線特急つがるで弘前駅まで約30分。
びゅう公式サイト:東北の宿と列車のきっぷを探そう!

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます