FOOD
2時間待ちは当たり前!? あの〈ペリカン〉がカフェを開店。
『カーサ ブルータス』2017年11月号より
October 24, 2017 | Food, Culture | a wall newspaper | photo_Ayumi Yamamoto text_P editor_Wakako Miyake
パン屋の〈ペリカン〉から徒歩2分の場所にカフェ誕生。食べに行く価値大。行列をものともせず行ってみて!
「炭焼きトースト」が目の前に来た! 浅草の老舗パン屋〈ペリカン〉の人気商品、小さめの四角い食パンを炭火でこんがりと焼いたものだ。パンの厚みと網目にぐっと来る。バターを塗るのももどかしく、まずはパクリ。この香ばしさ、このサックリ感。これですよ、と思わず独り言つ。
ここは、今年8月末にオープンした〈ペリカンカフェ〉。今まで、ペリカンのパンが食べられる喫茶店は何店舗もあったけど、こちらは直営。ペリカンのパンを知り尽くした4代目の母が店主を務め、その魅力を余すことなく伝える店だ。この炭焼きトースト、厚さは2cm。身が詰まってミミまでおいしい食パンを、炭火で外はカリッ、中はふわっと焼いてある。これぞ、この店のシグニチャーだ。
トーストも考え抜かれたラインアップ。時代を超えて愛され続けるパンの〈ペリカン〉らしく、ハム目玉焼きトーストにチーズトーストが2種、それに小豆トースト。サンドイッチは今流行りのフィリングたっぷりタイプではなく、ハムカツにしてもオムレツにしても、どこか懐かしさが宿る、温かみあふれる内容だ。かといって昭和レトロでもない。今感がしっかりあるから、すんなり入ってくる。そのバランスが絶妙なんである。ただ、いまだ行列が絶えず。タイミングによって、すぐに入れることもあるそうなので、今日こそ並ばなくて済むか、と何度かトライするしかない。待つのもまた楽し、ってことで……。
<strong>『74歳のペリカンはパンを売る。』</strong> 昨年創業74年を迎えた〈ペリカン〉。現在4代目の渡辺陸さんが引き継ぐこの店の、時代を超えても変わることのないパン作りを丁寧に綴る映画。シンプルな素材で変わらぬ味を作り、愛され続けるこの店を支える2代目店主・多夫さんの存在も大きい。渋谷・ユーロスペースで公開中。