デザインのいいレストラン #5 “食×アート”が融合する体感型レストラン。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook line twitter

デザインのいいレストラン #5 “食×アート”が融合する体感型レストラン。

レストランは単に美食のみを求めて行くところではなくなったようです。最新のレストランが提供するのは、今まで味わったことのない空間体験。このコラムでは東京に次々と誕生している「デザインのいいレストラン」を厳選し、ご紹介していきます。今回はクリエイティブカンパニー〈NAKED〉が新たなプロジェクトの一環として展開する体験型レストラン〈TREE by NAKED yoyogi park〉。食とアートが融合するプレゼンテーションに話題騒然です。

海底のような1室に設置された円卓を8人で囲むダイニング。設定された物語に沿って、空間や料理が変化していくインタラクティブな体験が待っている。
前菜「Birth/誕生」。皿の上の土壌をゲスト自らの手で耕し、種に見立てたスペルト小麦を蒔くところから1皿目の料理が始まる。
地下1階・地上2階の建物で、地上部分は総ガラス張り。日没後は、幻想的なビジュアルが異彩を放つ。
地下への階段を下り、水に浮かんでいるかのような飛び石を渡って辿り着く「Waiting Zone」。体験のガイドがメニュー替わりに壁に映し出される。
2階には、コースのエピローグとしてデザートを味わうだけのために用意された空間が。本物の果樹をしつらえ、映像で四季の移り変わりを演出。有田焼 李荘窯の珠型三段重で、「禁断の果実」をイメージした〈HUGO & VICTOR〉のスイーツが供される。
海底のような1室に設置された円卓を8人で囲むダイニング。設定された物語に沿って、空間や料理が変化していくインタラクティブな体験が待っている。
前菜「Birth/誕生」。皿の上の土壌をゲスト自らの手で耕し、種に見立てたスペルト小麦を蒔くところから1皿目の料理が始まる。
地下1階・地上2階の建物で、地上部分は総ガラス張り。日没後は、幻想的なビジュアルが異彩を放つ。
地下への階段を下り、水に浮かんでいるかのような飛び石を渡って辿り着く「Waiting Zone」。体験のガイドがメニュー替わりに壁に映し出される。
2階には、コースのエピローグとしてデザートを味わうだけのために用意された空間が。本物の果樹をしつらえ、映像で四季の移り変わりを演出。有田焼 李荘窯の珠型三段重で、「禁断の果実」をイメージした〈HUGO & VICTOR〉のスイーツが供される。
〈NAKED(ネイキッド)〉は、代表の村松亮太郎を中心に映像ディレクター、デザイナー、CGディレクターなどが集まり結成されたクリエイティブカンパニー。近年は、プロジェクションマッピングをはじめとしたさまざまな技術や美術造作、演出を組み合わせた空間の総合演出を数多く手掛けている。東京駅3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』や東京国立博物館特別展『京都―洛中洛外図と障壁画の美』内の「KARAKURI」の演出、『新江ノ島水族館ナイトアクアリウム』の企画演出などをはじめ、これまで手掛けたイベントの動員数は通算150万人以上に及ぶ。

さまざまなシーンで非日常的な体験をクリエイトしてきた〈ネイキッド〉が、「LIFEにクリエイティビティを」をコンセプトに掲げ、食とインタラクティブ体験が融合した「TREE by NAKED」プロジェクトを始動。その旗艦店として7月28日にオープンしたのが〈TREE by NAKED yoyogi park〉だ。代々木公園脇に立つガラス張りの建物は、日中に通りすがると何の変哲もないように見えるが、日没後に始まる食とアートが融合したプレゼンテーションは幻想的。すぐさま物語の神秘へと誘われる。

食とアート、異なるふたつの体験を結びつけるのは、『Scenes of Life』という「LIFE」をテーマにした物語。地下1階から地上2階までの3つの空間に、VR技術、プロジェクションマッピング、照明、音楽、美術造作による空間演出が仕掛けられ、移動しながらコース料理を味わう斬新な食体験が待つ。
「Spur/刺激」のシーンでは、2皿目の前菜として光り輝く茶碗蒸しをイメージした前菜が登場する。ウニ、イクラ、キャビアを添えてあり、贅沢。ミクロの世界で創造と消失を繰り返す細胞分裂をイメージしている。
魚料理は「Expansion/拡張」のイメージとともに。皿に映し出される魚に手を触れると、皿から飛び出し、卓上の川を泳ぎまわる。サーブされた料理は、薄切りの小さなカブの衣をまとった白身魚のソテー。
プロローグは、離れをイメージした地下1階のWaiting Zone、アペリティフラウンジで。壁に映し出されるのは、「LIFE」をテーマにしたストーリーの各シーン。アペリティフを傾けながらレストランでメニューを眺めるがごとく目を通し、これから体験するストーリーに想いを馳せるひとときだ。

海底のような空間に据えられた円卓を囲むダイニングに移動し、コースがスタート。「Birth/誕生」「Grow/成長」のストーリーとともに味わう前菜、「Expansion/拡張」のイメージを秘めた魚料理など、全5皿すべてが『Scenes of Life』という物語のワンシーンを担い、空間全体の演出とともにその神秘を目で、舌で堪能させてくれる。メインを味わい尽くしたら、階段で2階へ移動。「森の実験室」をテーマにした空間で、物語の締めくくりにあたるデザートを味わうという仕掛けだ。

ビジュアルをメインに五感でキャッチする物語と、食事のコースが融合したスペシャルな体験。四季の移ろいとともに、発芽から落葉落果までの木のライフサイクルが、シーンとストーリーに沿った空間演出と料理で表現される。映画制作がバックボーンにある〈ネイキッド〉ゆえ、知らず知らずのうちにストーリーに没頭させるシーン展開はお手のものだ。

料理は渋谷区初台にあるブルックリンスタイルのレストラン〈HOFF〉が監修。前菜から肉料理まで、テーマに即し、空間演出と連動させたプレゼンテーションに落とし込みながら、素材本来の味わいをしっかりと堪能させる料理が、まっとうな食後の満足感を与えてくれる。加えてエピローグで供されるデザートは、パリ発のパティスリー〈HUGO & VICTOR〉とのコラボレーションという贅沢さ。アートファンはもちろん、美食家たちもが注目するのも頷ける。
〈TREE by NAKED yoyogi park〉に先駆け、2017年4月には、丸の内に〈TREE by NAKED marunouchi〉をオープン。ギャラリーに隣接したロケーションを活かし、アート展示と連動した“片手で味わえる”プレミアムなホットドッグを販売している。木(TREE)が地に根ざすように、ひとつの形にとらわれず、土地にフィットするスタイルで、全国各地へ体験の場を広げていくという「TREE by NAKED」プロジェクト。この9月には、岐阜県多治見市に〈TREE by NAKED tajimi〉がオープン予定だ。

話題のクリエイティブ集団が手掛ける前代未聞の食体験。美食の、そしてアートの世界のこれからをどう刺激していくのだろうか。

〈TREE by NAKED yoyogi park(ツリー バイ ネイキッド ヨヨギコウエン)〉

東京都渋谷区富ヶ谷1-10-2
TEL なし。第1回19時30分会場・18時開始、第2回20時開場・20時30分開始(所要時間2時間、1回8名限定、要予約)。不定休。コース15,000円、ドリンクペアリング3,000円(いずれも税・サービス料込)。予約は公式サイトより。