予約がとれない日本料理店が手がける甘味割烹〈廚 菓子くろぎ〉|寺尾妙子のNEWSなレストラン | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

予約がとれない日本料理店が手がける甘味割烹〈廚 菓子くろぎ〉|寺尾妙子のNEWSなレストラン

1年先まで予約が埋まっているという大門の日本料理店〈くろぎ〉が、かつて店を構えていた湯島の一軒家にカフェブランドの本店となる〈廚(くりや)菓子くろぎ〉をオープン。圧巻のクオリティで ‘和のアフタヌーンティー’ コースを提供している。

料理と甘味はすべて「甘味割烹」コース4,200円(税込)より。「かき氷 季節の旬食材」の熟成柿。佐渡のおけさ柿(品種は季節ごとに変わる)と南信州の市田柿(干し柿)を合わせたソースはとろりとした口当たり。練乳ミルク、柿の果肉を混ぜた白あん、チーズクリームが夢のような味わいを紡ぎ出す。
通年提供される定番の「かき氷 富士山」は銀箔トッピング。氷は純氷。こちらも練乳ミルク、チーズクリーム添え。それらのコクと、しっかりした風味のぜんざいあんがベストマッチ。
「かき氷 季節の旬食材」紅玉は12月中旬頃まで。酸味のあるリンゴを皮ごと赤ワインで煮てソースに。リンゴの蜜煮入り白あん、練乳ミルク、チーズクリームの組み合わせ。
メニューはコースかセットのみ。「甘味割烹」コース4,200円は最初に焼き胡麻豆腐や赤飯を中心にした軽い食事が出て、かき氷か蕨もちから1種を選び、さらに季節の生菓子、そしてお茶3種がつく。さながら和のアフタヌーンティーのよう。「廚菓子セット」2,800円は5種類から甘味を2種選び、好みの飲み物1種がつく。それらすべてが、できたて!

注目のかき氷は、ほかの2店よりシンプルなスタイル。具材を絞り込んでいるため、柿や紅玉など旬のフルーツを使ったソースや定番の自家製粒あんなど、素材の持ち味がストレートに伝わってくる。

「柿のソースは甘さのピークを見極めて完熟させたものに、干し柿を合わせてちょっと火を入れた程度。自家製粒あんは噛んだときプチッと弾けるような食感になるよう、潰し具合に気を遣っています」(店長、清藤亮佑)。
「【御凌ぎ】赤飯膳」赤飯、出汁巻き卵、牛しぐれ煮、香の物。赤飯は濃く色をつけるため、炊き込む分量の倍の小豆を使用するという贅沢なつくり方をしている。このときの小豆はぜんざいあんに使われる。出汁巻き卵には、黄身の香りがしっかりしている埼玉〈田中農場〉の卵を使用。
〈くろぎ〉本店でも登場することがある「【先付け】焼き胡麻豆腐」本ワサビ添え。煎りたてすりたての胡麻に本蕨粉、吉野葛を合わせ、1晩以上寝かせてコシを出した胡麻豆腐は熱々で、中がトロトロ。
薄く塩味がついている「【突き出し】桜茶」は見た目も美しい。ひと口サイズの「おぜんざい」は香ばしいあられ入り。夏は冷やしバージョンに。
店長、清藤亮佑はじめ、パリッとした白衣に身を包んだスタッフによるハキのある声での接客は高級割烹のおもてなしそのもの。セットやコースも、まるで懐石が始まるかのように温かな桜茶とひと口ぜんざいが突き出しとして出され、コースなら陶板の上で醤油がジュージュー音と香りを立ててやってくる「【先付け】焼き胡麻豆腐」「【御凌ぎ】赤飯膳」が続く。

「炒った胡麻を練り上げた胡麻豆腐や国産黒毛和牛のリブロースを使った牛しぐれ煮など、料理の食材や作り方はすべて日本料理〈くろぎ〉と同じです」(店長)。
本蕨粉を練り上げ、仕上げに黒蜜を練り込んだ「蕨もち」。たっぷりの深煎りきな粉、桜塩漬け。季節に合わせて温度や形を変えて提供される。
「季節の生菓子」。12月は和栗の栗きんとん。細かい目で漉したきんとん生地のはかないこと! 香りよいこと! 中は鮮やかな紫芋あん。今後は大福なども出す予定だとか。
「御抹茶」。抹茶をはじめ、食中の葉ほうじ茶、甘味に合わせる和紅茶は京都・宇治〈福寿園〉のもの。
セットなら5種から2種を、コースならかき氷か蕨もちの選択を迫られる。選びきれず、お腹に余裕があるなら1品600円で追加も可能だ。

日本料理も甘味も〈くろぎ〉を訪れるのが初めてならば、シグネチャーである「蕨もち」は絶対に食べて欲しい。食べる直前につくり始め、カウンターなら目の前ででき上がっていく。火にかけた鍋で練り上げたら、通常は氷水で生地を締めるのだが、冬場はあえてお湯に落とす。ほの温かく、やわらかい食感もいい。

また、漉したてでフワフワの栗きんとんなどが登場する「季節の上生菓子」も見逃せない。
1階はカウンター7席、テーブル8席。2階はテーブル12席。
左から、マネージャーの岸本亮佑。1993年京都生まれ。店長の清藤亮佑。1993年東京生まれ。料理長の森岡光。1995年岐阜生まれ。3人とも2018年より本郷〈廚 菓子くろぎ〉入店し、2020年11月より現職。
奥には坪庭もある日本家屋。
店を出たら、角を曲がるまで見送られるところも含め、そのスタイルは日本料理〈くろぎ〉そのもの。味だけでなく、おもてなしまで高級割烹レベルの甘味処が誕生した。

〈廚 菓子くろぎ〉

東京都文京区湯島3-35-1 TEL 03 5817 8121。11時〜18時LO(コース17時LO)。水曜休(2020年12月27日〜2021年1月6日休)。「廚菓子セット」2,800円〜、「甘味割烹」コース4,200円〜。日本酒1合1,000円〜、八海山ライディーンビール1,000円(以上、税込)。2020年11月28日オープン。〈廚 菓子くろぎ〉は東大の敷地内や〈上野 parco_ya〉に姉妹店が2軒ある。

寺尾妙子

てらおたえこ  食ライターとして雑誌やWEBで執筆。好きな食材はごはん、じゃがいも、トリュフ。現在、趣味の茶の湯に邁進中。

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