速報:ドリス・ヴァン・ノッテン、原美術館で週末限りの展覧会|石田潤のIn the mode | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

速報:ドリス・ヴァン・ノッテン、原美術館で週末限りの展覧会|石田潤のIn the mode

17世紀に描かれたベルギー出身のアーティストによる絵画を、日本の現代作家が再解釈するという、クロス・カルチャーな展覧会が原美術館で始まった。3日間の特別展示を企画したドリス・ヴァン・ノッテンにプロジェクトの意図について聞いた。

〈原美術館〉で、3日間限定の展覧会『INTERPRETATIONS, TOKYO‐17世紀絵画が誘う現代の表現』が始まった。ドリス ヴァン ノッテン青山店に飾られている17世紀に活躍したベルギー出身の画家エラルート・デ・ライレッセによる2枚の絵画を、日本のアーティストが再解釈し作品を制作、ともに展示するという内容だ。このプロジェクトは2009年の青山店オープン時に初めて行われ、今回はその第2弾となる。
ベルギーに生まれオランダで活躍した画家エラルート・デ・ライレッセ(1640~1711)の《パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う》。
エラルート・デ・ライレッセ《アキレスとアガメムノンの口論》
ベルギーに生まれオランダで活躍した画家エラルート・デ・ライレッセ(1640~1711)の《パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う》。
エラルート・デ・ライレッセ《アキレスとアガメムノンの口論》
―エラルート・デ・ライレッセの2枚の巨大な絵画作品『アキレスとアガメムノンの口論』と『パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う』は、2度にわたる本プロジェクトの原点であり、青山店にはオープン当初からあなたの分身であるかのように展示されています。この2つの作品はあなたにとってどのような意味を持つものなのでしょう?

ファッションの店舗は、洋服を置く場所であるだけでなく、それを作ったデザイナーがどんな人物なのか、服をどのように位置づけているのかを示すプレゼンテーションの場でもあるべきだと思います。服はライフスタイルのひとつですから、ライフスタイルの一部を店に持ち込むことが必要です。私にとっては、アントワープの要素を東京に持ち込むことが大切で、東京の店が少々場違いなものに見えることが重要でした。18世紀フランスの空間を東京に作り直している、といった見え方です。
蜷川実花《Untitled》(2009年)
堂本右美《but then I thought...》(2009年)
大庭大介《Spectrum》(2009年)
蜷川実花《Untitled》(2009年)
堂本右美《but then I thought...》(2009年)
大庭大介《Spectrum》(2009年)
東京の店には日本にインスパイアされた要素も加えています。例えば、2階のメンズフロアにある長い1本の樹木の幹は侘び・寂びを表現したものですし、打ち放しのコンクリートは安藤忠雄に代表される日本の現代建築に影響を受けたものです。そこにアントワープの要素をもたらすものとして、ライレッセの2枚の絵画を展示しました。

アントワープはとてもバロック的な街で、ライレッセの作品はその象徴です。でも17世紀の絵画を飾るだけではクラシックすぎるので、現代美術も取り入れたいと考えました。そして、日本の若いアーティストにライレッセの絵画作品を再解釈した作品を作ってもらうことにしたのです。
1991年生まれの石井七歩のインスタレーション。東京をベースに都市化する人間をテーマに作品を制作している。
1991年生まれの石井七歩のインスタレーション。東京をベースに都市化する人間をテーマに作品を制作している。
―最初にプロジェクトが行われた2009年には堂本右美、蜷川実花、大庭大介、今回は佐藤允、安野谷昌穂、石井七歩が参加しました。アーティストはどのように選んだのですか?

完璧に現代美術の世界を把握しているわけでないので、〈原美術館〉と美術関係者にリストを作ってもらい、その中から選びました。このプロジェクトは、ライレッセの絵画を解釈した作品を作るというお題のある“コミッション・ワーク”です。18世紀までは肖像画も教会にある作品も、全てはコミッション・ワークでした。アーティストが、自分たちのアーティスティックなビジョンはいかなるディレクション(指示)も受け入れないと言い始めたのはここ60年ほどのことですが、コミッション・ワークは今や過去のものとなってしまいました。