軽量でモバイル、提灯を巡るデザイン展。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

軽量でモバイル、提灯を巡るデザイン展。

超軽量で折りたたみ可能、屋外のポータブルな灯りとしても重宝された「提灯」。機能と構造を改めて捉え直してみれば、他に類を見ない日本古来の秀逸な照明システムだ。世紀を超えて受け継がれ、時代とともに進化し続ける「提灯」の魅力を探る意欲的な展覧会が開催される。

「As movable as butterflies/蝶のように軽やか」は、1950年、提灯のストラクチャーを利用し、時代の暮らしに即した照明《Akari》をデザインしたイサム・ノグチの言葉だ。軽やかで、自由自在に動かせて、羽をたためば極めてコンパクト。また和紙を通してぽーっと灯る優しく暖かな光が、優雅な蝶の佇まいのように美しい。その後も長く愛される照明としての現代の提灯を生み出したデザイナーの言葉は、言い得て妙だ。

11世紀に紙製の灯りが文献に現れ、16世紀には絵に描かれたものの、技術的な進化は今も謎に包まれる提灯は、江戸期に入り普及し、18世紀末に現在のように形作られた。湾曲させた竹と和紙のシンプルな構造の提灯に彩色し、文字を施して店先の看板に、連ねて通りの街灯にも使われた19世紀は、まさに日本中を灯す万能照明だったと言える。

各時代の提灯、浮世絵、写真、フィルムの展示を始め、伝統的な提灯の製作過程も会場内で紹介する。アメリカ生まれの日本人作家、イサム・ノグチだからこそ発想した《Akari》が巻き起こしたミドルセンチュリー最盛期のインテリアや、ジャスパー・モリソンやハイメ・アジョンらによる現代のデザイン提灯照明も見所だ。
1962年のフランスの雑誌『L’Oeil』n°87号に掲載された「内装建築の良き一例 」。イサム・ノグチの《Akari 120A》 モデルがイームズのラウンジチェア他を配すモダン空間に馴染む。(c) Magazine L’Oeil - Pierre Berdoy
イサム・ノグチのデザインした総計100余りの〈Akari〉から、1952年にデザインしたモデル《10A》。現在も日本の提灯造りの中心を担う岐阜県の〈オゼキ〉とのコラボレーション。(c) Françoise Dorelli - Sentou
日本の伝統工芸にも精通する英国人デザイナー、ジャスパー・モリソンによるデザインを岐阜県の〈浅野商店〉が製作した提灯照明《ポルチーニ ファミリー》。2005年。(c) Takuya Yamauchi
スペインのデザイナー、ハイメ・アジョンがカラフルな模様を手書きで施したフォーム違いのシリーズ照明《Formakami》JH5、JH4、JH3。〈&tradition〉社より、2018年。(c) &tradition & Jaime Hayon
1962年のフランスの雑誌『L’Oeil』n°87号に掲載された「内装建築の良き一例 」。イサム・ノグチの《Akari 120A》 モデルがイームズのラウンジチェア他を配すモダン空間に馴染む。(c) Magazine L’Oeil - Pierre Berdoy
イサム・ノグチのデザインした総計100余りの〈Akari〉から、1952年にデザインしたモデル《10A》。現在も日本の提灯造りの中心を担う岐阜県の〈オゼキ〉とのコラボレーション。(c) Françoise Dorelli - Sentou
日本の伝統工芸にも精通する英国人デザイナー、ジャスパー・モリソンによるデザインを岐阜県の〈浅野商店〉が製作した提灯照明《ポルチーニ ファミリー》。2005年。(c) Takuya Yamauchi
スペインのデザイナー、ハイメ・アジョンがカラフルな模様を手書きで施したフォーム違いのシリーズ照明《Formakami》JH5、JH4、JH3。〈&tradition〉社より、2018年。(c) &tradition & Jaime Hayon

『蝶のように軽やか──日本の提灯』展

〈ボルドー装飾芸術とデザイン美術館〉
39 rue Bouffard 33000 Bordeaux。1月31日~5月19日。11時~18時。火曜・祝日休み。入館料:5ユーロ。