DESIGN
《INFOBAR》15周年記念モデル、その進化は止まらない。
October 20, 2018 | Design | casabrutus.com | text_Keiko Kusano
ポップなカラーリングとシンプルなデザインで、多くの人に愛されてきた《INFOBAR》。記念モデル《INFOBAR xv》発売を前に、その変わらぬ魅力について、デザイナーの深澤直人に話を聞きました。
2001年5月に行われた「ビジネスショウ 2001 TOKYO」に出展した小さなブースで、初めて《INFOBAR》のコンセプトモデルは発表された。当時は折りたたみ式の携帯電話、いわゆるガラケーが主流の時代で、そのストレートなバータイプは会場で新鮮な印象を放ち、ブースには予想を上回る客が訪れた。そもそも《INFOBAR》はなぜバータイプだったのか。
「携帯電話が登場する前は、身につけるものといったら腕時計しかなかったんですよ。でも、携帯電話が現れて、ウェアラブルではないけれども、いつも持っているものとなった。さらに、“携帯電話の理想的な姿とは何か”を考えたときに、“通話する”機能に加えて、当時PDAと呼ばれていた携帯情報端末に共通する理想的な形があるだろうと考えました。そのためには『折れ曲がっちゃいけないだろう』という読みがあり、バータイプとなったわけです。チョコバーみたいな、手に握る・持つタイプのものをイメージしながら、バータイプのコミュニケーションツールのポジションを取っていかないといけない、と当時プロトタイプを提案する際には話していたと思います。振り返ってみれば、その読みから17年間、時代が変わっても未だに共感してくれる人がいてくれて、新しく《INFOBAR》を知った人も納得できる形になっていると思います」
「携帯電話が登場する前は、身につけるものといったら腕時計しかなかったんですよ。でも、携帯電話が現れて、ウェアラブルではないけれども、いつも持っているものとなった。さらに、“携帯電話の理想的な姿とは何か”を考えたときに、“通話する”機能に加えて、当時PDAと呼ばれていた携帯情報端末に共通する理想的な形があるだろうと考えました。そのためには『折れ曲がっちゃいけないだろう』という読みがあり、バータイプとなったわけです。チョコバーみたいな、手に握る・持つタイプのものをイメージしながら、バータイプのコミュニケーションツールのポジションを取っていかないといけない、と当時プロトタイプを提案する際には話していたと思います。振り返ってみれば、その読みから17年間、時代が変わっても未だに共感してくれる人がいてくれて、新しく《INFOBAR》を知った人も納得できる形になっていると思います」
《INFOBAR》の最初のプロトタイプは、カラフルなレゴを積み重ねた遊び心あふれるものだった。初代《INFOBAR》はそのポップなイメージのまま、2003年10月に発売となる。たちまち人気を博し、その後もニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品に選ばれるなど、“デザインケータイ”のパイオニアとして長く愛されてきた。
「《INFOBAR》は“持つ”というよりは“居る”みたいな存在感で、ただのツールではないんですよね。それはなぜかということを考えたときに、やはり必然的な形をしているからかな、と思います。必然というのは、人間にとって全部ひとつに集約されないと思っていて、嫌われないという必然、もしくは飽きられない必然ともいえるかもしれない。それも大きな重要な価値なんです。たとえば、家具。僕は椅子もデザインしますが、24時間座ってるわけではないけれど、そこに存在している。我々が使っていないときもそこに存在している、というのはむしろつながっているとも言えるわけで、そういう意味での存在感というのは、とても重要だと思います」
「《INFOBAR》は“持つ”というよりは“居る”みたいな存在感で、ただのツールではないんですよね。それはなぜかということを考えたときに、やはり必然的な形をしているからかな、と思います。必然というのは、人間にとって全部ひとつに集約されないと思っていて、嫌われないという必然、もしくは飽きられない必然ともいえるかもしれない。それも大きな重要な価値なんです。たとえば、家具。僕は椅子もデザインしますが、24時間座ってるわけではないけれど、そこに存在している。我々が使っていないときもそこに存在している、というのはむしろつながっているとも言えるわけで、そういう意味での存在感というのは、とても重要だと思います」
11月下旬に発売となる《INFOBAR xv》はスマホではなく、フィーチャーフォンだ。
「スマホが主流になった時代に、今さら普通の携帯電話はないだろうと言われるかなという気持ちもありました。そうは言っても“デジタルデトックス”という観点から“必要ないものを持ち歩いている”という感覚を持つ人も、潜在的には結構いるのではないかという読みがありました。実際に《INFOBAR xv》を世に出してみたら、そういう感覚の方が結構いるということが顕在化しましたし、“デジタルデトックス”的な考え方に気づく人が増えているのも実感しています」
「スマホが主流になった時代に、今さら普通の携帯電話はないだろうと言われるかなという気持ちもありました。そうは言っても“デジタルデトックス”という観点から“必要ないものを持ち歩いている”という感覚を持つ人も、潜在的には結構いるのではないかという読みがありました。実際に《INFOBAR xv》を世に出してみたら、そういう感覚の方が結構いるということが顕在化しましたし、“デジタルデトックス”的な考え方に気づく人が増えているのも実感しています」
深澤自身も、最近はデジタル機器からは少し距離を置いているという。
「多量の文字がガーッと出てくるようなSNSはコミュニケーション手段としては耐えられないくらい面倒くさいし、カバンにIoTの物を入れるのもあまり好きじゃない。デスクトップのパソコン自体も、自分にはもう必要ないかなとすら思いますね」
《INFOBAR xv》は、スマートフォンではなくAndroidベースのフィーチャーフォン。これはいわゆる「ガラホ」と呼ばれるもので、携帯電話の形状はそのままにスマートフォンの厳選した高機能を搭載する。Wi-Fi、テザリング機能、「LINE」「+メッセージ」などに対応し、スマートフォンとの連携も可能なので「2台持ち」が可能だ。たとえば、カバンの中にスマホを忍ばせておいて、「スマホ音声アシスタント呼出機能」を使って「Googleアシスタント」や「Siri」を利用することができるのだ。《INFOBAR xv》に向かって話しかけるだけで、スケジュールの確認や電話をかけたりすることができる。
「多量の文字がガーッと出てくるようなSNSはコミュニケーション手段としては耐えられないくらい面倒くさいし、カバンにIoTの物を入れるのもあまり好きじゃない。デスクトップのパソコン自体も、自分にはもう必要ないかなとすら思いますね」
《INFOBAR xv》は、スマートフォンではなくAndroidベースのフィーチャーフォン。これはいわゆる「ガラホ」と呼ばれるもので、携帯電話の形状はそのままにスマートフォンの厳選した高機能を搭載する。Wi-Fi、テザリング機能、「LINE」「+メッセージ」などに対応し、スマートフォンとの連携も可能なので「2台持ち」が可能だ。たとえば、カバンの中にスマホを忍ばせておいて、「スマホ音声アシスタント呼出機能」を使って「Googleアシスタント」や「Siri」を利用することができるのだ。《INFOBAR xv》に向かって話しかけるだけで、スケジュールの確認や電話をかけたりすることができる。
コミュニケーションツールとして、適度で幸せな距離感が保てる《INFOBAR xv》。時代とともに携帯、スマホとさまざまな機能を備えた《INFOBAR》を生み出してきたデザイナー、深澤直人の、ひとつの理想と今の気分がそのまま具現化したのが、《INFOBAR xv》と言えるのかもしれない。
デジタルガジェットの流行は早い。気が早いかもしれないが、今後、《INFOBAR》はどうなっていくのだろうか。
「携帯電話を“存在”として考えたときに、これにAI(人工知能)が入ってきたりすると、さらに違った使い方、楽しみ方が出てくるかもしれません。《INFOBAR》は、もはやひとつの人格というか、キャラクターのようなもの。《INFOBAR》の進化は止まりません。将来、考える機能やしゃべる機能が付いた “知恵を持った携帯電話”が主流になるとすれば、それがどういう姿をしているのがいいのか考えたときに、“《INFOBAR》がいいんじゃないか”ということになってくる可能性はあると思っています」
デジタルガジェットの流行は早い。気が早いかもしれないが、今後、《INFOBAR》はどうなっていくのだろうか。
「携帯電話を“存在”として考えたときに、これにAI(人工知能)が入ってきたりすると、さらに違った使い方、楽しみ方が出てくるかもしれません。《INFOBAR》は、もはやひとつの人格というか、キャラクターのようなもの。《INFOBAR》の進化は止まりません。将来、考える機能やしゃべる機能が付いた “知恵を持った携帯電話”が主流になるとすれば、それがどういう姿をしているのがいいのか考えたときに、“《INFOBAR》がいいんじゃないか”ということになってくる可能性はあると思っています」
《INFOBAR xv》
2018年11月29日発売。現在、予約受付中。価格は51,840円(※「毎月割」適用後の実質負担額は35,640円)。 KDDI TEL 0077 7111。