知られざるアルヴァ・アアルトに迫る展覧会。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

知られざるアルヴァ・アアルトに迫る展覧会。

北欧デザインの中でも特にファンの多いアルヴァ・アアルト。彼の造形の秘密を探る展覧会が開かれています。アアルトの家具でくつろげる「アアルト ルーム」もある、スペシャルな内容です!

アルテックとイッタラ、インテリアスタイリストの黒田美津子が、アアルトの照明の下、さまざまなタイプの椅子に実際に座れるスペース「アアルト ルーム」をつくった。
アアルトの〈ヴィープリの図書館〉のように《スツール 60》が並ぶコーナーや、ワークショップなどにも使えるテーブルが並ぶ。
「アアルト ルーム」より、リビングをイメージしたエリア。
貝殻など自然からインスピレーションを得ることが多かった。
アルテックとイッタラ、インテリアスタイリストの黒田美津子が、アアルトの照明の下、さまざまなタイプの椅子に実際に座れるスペース「アアルト ルーム」をつくった。
アアルトの〈ヴィープリの図書館〉のように《スツール 60》が並ぶコーナーや、ワークショップなどにも使えるテーブルが並ぶ。
「アアルト ルーム」より、リビングをイメージしたエリア。
貝殻など自然からインスピレーションを得ることが多かった。
フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルトが生まれて今年で120年。彼の建物やデザインは多くが50年以上前にデザインされたものだが、古びていない。その魅力はどこから生まれているのかを探求するのが本展だ。
アアルトのデスクをイメージしたスタイリング。独特の曲線はこんな場所から生まれたのかも?
日本の茶道具もよく似合う。
こんなドレッシングコーナーで1日をスタートさせたい。
アアルトのデスクをイメージしたスタイリング。独特の曲線はこんな場所から生まれたのかも?
日本の茶道具もよく似合う。
こんなドレッシングコーナーで1日をスタートさせたい。
星のような照明。
展示は初期のスケッチなどから始まる。実現しなかった教会のプランなどを見ると、いわゆるアアルト・スタイルとは違う新古典主義的なデザインだ。アアルトにも「アアルト以前」があった、ということがわかる。
中央上が演劇「S.O.S.」のポスター。私たちが知ってるアアルトとは少し違うが、これもアアルト。右はアルミン・リンケの写真。
もうひとつ、面白いのが演劇「S.O.S」の舞台美術とポスター。舞台美術は表現主義的だし、ポスターにはアフリカの仮面のようなものが描かれている。もちろんアアルトが描いたものだ。ピカソがアフリカの仮面の造形力に驚いて画風を変えたのは有名だが、当時はヨーロッパのあちこちで非ヨーロッパ文明への関心が高まっていた。その後のアアルトを知る私たちからすると意外な作品だが、こんなところにも彼のルーツがある。
〈パイミオのサナトリウム〉病室の再現。長期間、ここで暮らす患者のことを考えたつくり。
彼の出世作であり、フィンランド建築の方向性を決定づけた〈パイミオのサナトリウム〉の病室を再現したコーナーがある。通常、人は身体を起こして生活するが、ここは療養所だから大半の時間を横になって過ごす。そのため「天井に照明はつけない」「頭寒足熱となるようラジエーターの向きを調節する」「洗面台の水音をできるだけ小さくするため、ボウルに水が当たる角度を工夫する」といった配慮がされた。
積層合板の曲げ木によるレリーフ。交友のあったアーティストの影響が見られる。
〈パイミオのサナトリウム〉のベッドはスチールパイプだが、待合室やラウンジには薄い板を積層した合板の曲げ木の椅子が置かれた。次の展示室ではその曲げ木のレリーフと、オリジナルの家具が見られる。
積層合板による椅子などが並ぶ。
〈パイミオのサナトリウム〉ではスチールのサッシュを使ったが、後の建築作品では木のサッシュやレンガ、ブロンズ板といった多様な素材を使った。林業はフィンランドの主要産業の一つだが、鉱物資源は乏しい。本展タイトル『アルヴァ・アアルト――もうひとつの自然』は自然の造形からヒントを得た彼のデザインを指しているが、自然の恵みを活用しようとする彼の態度を表しているとも考えられる。