古今東西 かしゆか商店【曲げわっぱ】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【曲げわっぱ】

『カーサ ブルータス』2018年9月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡りはじめた、店主・かしゆか。今回出かけたのは秋田県北部の大館。以前から興味があった「曲げわっぱ」の工房で、美しい天然杉の弁当箱を見つけた。

曲げわっぱは、薄く挽いた天然杉の板を曲げてつくる伝統工芸だ。"大館曲げわっぱ"の〈柴田慶信商店〉に足を踏み入れたとたん、「わあ、木のいい香り」とうれしそうに目を輝かせたかしゆか店主。弁当箱をセレクト中。
かしゆか商店を始めた時からずっと気になっていたもの。それが秋田の手仕事でした。秋田には友人がいるのですが、いつ訪ねても空気が澄んでいて人が朗らかでお米がおいしくて。そんな土地の伝統工芸を知りたかったんです。
Buying No.06【 曲げわっぱ 】 天然杉でつくられた、ごはんをおいしくする弁当箱。
今回訪ねた大館市は、天然杉を曲げてつくる“曲げわっぱ”で有名な町。お邪魔したのは1966年創業の〈柴田慶信商店〉です。工房に並ぶ曲げわっぱのお弁当箱やバターケースは、驚くほど軽くて手に吸いつくような滑らかさ! 見た目も手触りも気持ちよく、伝統的な形なのにとてもスタイリッシュです。この日は、今年78歳という柴田慶信さんと2代目の昌正さんに、案内してもらいました。
80℃の湯で煮た杉板を、ゴロ(丸太)に巻いて曲げる。
乾燥中のわっぱ。「きれいな木目がモダンな美しさを生むんですね」とかしゆか店主。
80℃の湯で煮た杉板を、ゴロ(丸太)に巻いて曲げる。
乾燥中のわっぱ。「きれいな木目がモダンな美しさを生むんですね」とかしゆか店主。
材料は、樹齢150年を超える天然杉。私たちの背よりずっと大きく、しかもほとんど節がない上質な杉板です。ここからパーツごとに切り出して薄くした板を、
“曲げる”のですが、まず、板を熱湯で煮るのを見てびっくり。熱で柔らかくなった板を丸太に巻きつけてクセをつけ、さらにわっぱ型に添わせて曲げて固定して……とすべてが人の手で行われます。さらに、曲げた板と板の合わせ目を“綴じる”職人技もすごい。薄く削いだ山桜の皮で、縫いものをするように、シュルルッ、ピタッと綴じていくんです。技も手間も総動員。魔法みたいです。