〈すみだ水族館〉で話題の企画展をデザイナー三澤遥が解説します。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈すみだ水族館〉で話題の企画展をデザイナー三澤遥が解説します。

水の中の新しい風景を設計した『waterscape 水の中の風景』展。さまざまな構造物と一緒に小さな生きものが暮らすキューブ型水槽に、今まで見たことのない風景が広がります。デザイン×生きもののその先は?

〈すみだ水族館〉で開催中の『waterscape 水の中の風景』展では、吹きガラスの球体や3Dプリンターで製作された樹脂などの構造物と魚たちが暮らす、美しい水槽が並ぶ。

これらの水槽を手がけた三澤遥は、デザインオフィスnendo、日本デザインセンター原デザイン研究所を経て、「日本デザインセンター 三澤デザイン研究室」として活動するデザイナーだ。

『waterscape』は2015年より手がけるプロジェクトで、今回の〈すみだ水族館〉で3回目となります。そもそもは個人的にずっと温めていたアイディアのひとつで、プロの飼育員の手により、さらに完成されたように思います。
〈泡のゾーニング〉泡の集積を連想させるボロノイ図を応用し、ナイロン樹脂で製作。
〈水の中の温室・気球型〉吹きガラスの球体を気球のように水中に浮かせて温室に。その中に水草が浮かぶ。
〈雲のようなかたまり〉一見柔らかなフォルムだが、硬質なウレタン樹脂でできている。
〈開口のある境界膜〉3D曲面の膜がつなぐ2つの水中世界。
〈泡のゾーニング〉泡の集積を連想させるボロノイ図を応用し、ナイロン樹脂で製作。
〈水の中の温室・気球型〉吹きガラスの球体を気球のように水中に浮かせて温室に。その中に水草が浮かぶ。
〈雲のようなかたまり〉一見柔らかなフォルムだが、硬質なウレタン樹脂でできている。
〈開口のある境界膜〉3D曲面の膜がつなぐ2つの水中世界。
デザインオフィスnendoに勤務していた頃に、3Dプリンタの技術に出会いました。今では当たり前になりましたが当時は画期的で感動を覚え、3Dプリンタの試作品やガラス製ビーカーなどを、自宅の水槽で水中に沈めて、魚がどう動くのか観察していました。これは可能性があると直感的に思いましたね。

水槽は20cm角にし、建築を組み立てていくような思考で、その中に空間を設計しました。構造物は技術だけが見えてこないように、素材をあえて変え、アプローチも変えて。必ずしも美しく作ることが目的ではありません。それぞれの構造物には狙いがあり、水中生物がどう反応し行動するか、機能を一番に考えて作っています。小さな空間の中に、ちょっとした差異で、見た目の違和感を大きく最大値化することを考えました。
図面は無数に。立体でスケッチを描くことがほとんどだが、これは平面図。横から見たものが多い。
作ったものがすべてうまくいったわけではありません。試験管を積み重ねて、ドジョウタワー、ドジョウマンションのようなものを作ったのですが、ドジョウは暗いところに逃げ込む性質があり、透明の試験管には反応しませんでした。ドジョウは飼ったことがなく、生態を理解した上で作らないと機能しないのだと反省しました。幼い頃から生きものや自然に触れる中で育んだ知見がこのwaterscapeプロジェクトでは活きています。

もちろん生きものは好きですが、好きだからという理由だけで、このプロジェクトをやることになったわけではありません。生きものの生態や環境に元々興味があったからです。waterscapeの一連のシリーズは「観察」するための水槽です。よくよく見ていると小さな発見の数々気づいていただけると思います。水中生物の生態とそれに伴う環境をぜひ実際にじっと観てもらえたらうれしいです。
三澤 遥(みさわ はるか)。デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動。KITTEやTOKYO BIG SIGHTのロゴマーク、上野動物園「真夜中の動物園」の告知物などがある。2018年夏に「waterscape」の書籍がエクスナレッジより発売予定。
360度どこからでも見られる水槽は、生きものが生き生きと動いている様子が観察できます。魚の目線と人間の目線が交差するところに何があるか。魚にも感情があるんじゃないか、この水槽を機能として理解してくれているんじゃないかという瞬間があるんです。

〈waterscape〉はアート作品ではなく、デザインです。水槽の中は1つのオブジェクトを加える以外、水、砂、水草など、水中生物にとっては突飛な要素は入れていません。ですが、見る側の人間からはなんだか違和感があるかもしれません。浮力と重力をコントロールし、水中にちょっとした仕掛けをしています。この中のものはこういう機能があるのかなと、見る人にも、ちょっとした気づき、発見があるといいなと思います。
〈すみだ水族館〉での展示の様子。それぞれの水槽の狙いや図解も展示されている。

『waterscape 水の中の風景』

〈すみだ水族館〉

東京都隅田区押上1-1-2
東京スカイツリータウン・ソラマチ5・6F。〜7月8日(日)。9時〜21時(入場受付〜20時)。無休。入館料2,050円。