DESIGN
デンマークの女性建築家、ボーディル・ケアを知っていますか?
『カーサ ブルータス』2018年6月号より
May 9, 2018 | Design, Architecture | a wall newspaper | text_Chiyo Sagae editor_Yuka Uchida
映画『007 ロシアより愛を込めて』のJ・ボンド愛用の机《DESK》ほか、ボーディル・ケアの手がけた伝説のデザイン家具が今春、復刻します!
「エレメント・オブ・アーキテクチャー」という名のデザインが今春のミラノサローネで発表された。デンマーク人女性建築家、ボーディル・ケアのデザインワーク25作品を〈カール・ハンセン&サン〉や〈キャラクター・コペンハーゲン〉など世界の7社が一斉に復刻という異例の発表に加え、矍鑠とした86歳のケアが自身のデザインを語る稀なる機会。今こそ、ボーディル・ケアの類い稀なる才能を知っておきたい。
Q デンマーク、英国、米国と世界を飛び回って設計士、デザイナー、教授として、多彩な仕事に携わる中で大切にしてきたことは?
デンマークの片田舎で15世紀から農業を営む家に生まれ、父は自然を尊ぶことはもちろん、物事の関連性や社会的な観点から考える大切さを教えてくれました。そうした物の見方は私の根底にあり、家具では、どんな空間で、誰が、どんな機能を求めているかを形にしています。コンストラクション(構築)するという意味で、建築へのアプローチと同じなのです。
Q デンマーク、英国、米国と世界を飛び回って設計士、デザイナー、教授として、多彩な仕事に携わる中で大切にしてきたことは?
デンマークの片田舎で15世紀から農業を営む家に生まれ、父は自然を尊ぶことはもちろん、物事の関連性や社会的な観点から考える大切さを教えてくれました。そうした物の見方は私の根底にあり、家具では、どんな空間で、誰が、どんな機能を求めているかを形にしています。コンストラクション(構築)するという意味で、建築へのアプローチと同じなのです。
Q では『007』の机《デスク》が生まれた背景を教えてください。
設計士のスタッフをしていた頃、複数の人が共に協議し、作業する机が存在しないことに気がついたのです。それがきっかけ。一方、《インドア−アウトドア》は、当時の屋外用家具では考えられていなかった“建築の一部としての家具”を意識してデザインしました。
設計士のスタッフをしていた頃、複数の人が共に協議し、作業する机が存在しないことに気がついたのです。それがきっかけ。一方、《インドア−アウトドア》は、当時の屋外用家具では考えられていなかった“建築の一部としての家具”を意識してデザインしました。
Q 機能性や素材の持ち味を高度なクラフツマンシップで実現させたあなたの家具は、北欧デザインの伝統が元にあるのでしょうか?
日本の優れた建築家が皆そうであるように、クリエイションの源には、その土地や文化のルーツがあります。モダニティは、そのルーツなしには前へ進まないのです。
Q 1960年にデザインされた花瓶《クロス》も、当時の花瓶にはほとんど見られなかった直線が際立つモダンなデザインですね。
これは、まさに建築のように見える花瓶ですが、実はとてもナチュラル。複数の花を入れてもブーケのように固まらず、自由にばらつき、まるで野原のように生けられるのです。人は、私のデザインを見て「ミニマリスト」というけれど、そうではないの。「エッセンシャリスト」なのよ。
日本の優れた建築家が皆そうであるように、クリエイションの源には、その土地や文化のルーツがあります。モダニティは、そのルーツなしには前へ進まないのです。
Q 1960年にデザインされた花瓶《クロス》も、当時の花瓶にはほとんど見られなかった直線が際立つモダンなデザインですね。
これは、まさに建築のように見える花瓶ですが、実はとてもナチュラル。複数の花を入れてもブーケのように固まらず、自由にばらつき、まるで野原のように生けられるのです。人は、私のデザインを見て「ミニマリスト」というけれど、そうではないの。「エッセンシャリスト」なのよ。
Bodil Kjær
1932年デンマーク生まれ。母国と米国でデザインを学び、60年コペンハーゲンにスタジオを設立。その後も英国で建築を学び、ARUP社の設計士として世界のプロジェクトに参加。多数の大学で客員教授も務める。