民藝館館長・深澤直人が惚れた愛くるしい民藝たち。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

民藝館館長・深澤直人が惚れた愛くるしい民藝たち。

館長就任3年目、深澤直人の名を掲げた初の展覧会が開催されます。館長が愛してしまった(!?)民藝とは。

丸みのある姿は女性的。「ベールをかぶったマリア像にも見えます」と深澤さん。
「民藝はかわいい」。3年前に日本民藝館の館長に就任した際、この言葉を提示して民藝の見方に新風を吹き込んだ深澤直人。その考えを立体的に伝える、深澤館長キュレーションの展覧会が3月末より開催される。タイトルは『愛される民藝のかたち』だ。


Q 民藝をかわいいと言い表したきっかけから教えてください。

館長に就任した際、柳宗悦の1万7000点のコレクションを前にして、この収集品を串刺しにするキーワードは何かと考えたんです。そのときに浮かんだのが「かわいい」という言葉でした。これには批判もいただいて、そういう言葉は簡単に使うんじゃないと。でも軽率に使っているわけではなく、柳宗悦の収集にはある方向性、言うならば偏りがあると思っています。それはかっこよさや洗練といった美意識とは違う、ほんわかとした温かみ。「かわいいなぁ」と思わず言ってしまう空気を感じたんです。


Q 理屈抜きに心を揺さぶられるということでしょうか。

デザインの仕事を通して、かっこよさや美しさより心に響くものがあるのではと考えた時期がありました。例えば魅力あるものの“魅力”とは何か? それは“人に愛される佇まい”ではないかと。これは柳さんの平和思想とも根っこでつながっていると思います。民藝とは、雅とは反対の、武骨だけれど魅力的といった高いレベルの美学です。柳さんはそれを「民藝」という言葉に託した。館長になった私の役目は、その感覚を今の言葉に置き換えることです。


Q 今展示のタイトルは「かわいい」ではなく「愛される」ですね。

気持ちとしては同じです。ただ「愛される」には受け手の存在がある。英語なら「cherish」。「大切にしたい」「大事にする」といった能動的な言葉を選びました。

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