デザイン一徹の人生を語る、コンラン卿の自伝的作品集。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

デザイン一徹の人生を語る、コンラン卿の自伝的作品集。

『カーサ ブルータス』2017年10月号より

デザイン界の巨匠が振り返る60年余りの軌跡は、個人史であり、また戦後のデザイン史でもある。

1968年作のヒースロー空港用椅子(左)から2010年作のプライウッド椅子(右下)まで、一貫したデザイン哲学が見える。
ロンドンの旧ミシュラン本社を丁寧に修復改装。87年〈ザ・コンランショップ〉とレストラン〈ビバンダム〉としてオープンする。
1964年にオープンした〈ハビタ〉は、家具からキッチン用品まで扱う画期的な店だった。77年にアメリカ進出するが、商標問題で〈コンランズ〉に変更(右)。
1950年代にデザインしたテキスタイル。
1960年代の建物を改築し、2016年移転オープンになったロンドンのデザイン・ミュージアム。
1968年作のヒースロー空港用椅子(左)から2010年作のプライウッド椅子(右下)まで、一貫したデザイン哲学が見える。
ロンドンの旧ミシュラン本社を丁寧に修復改装。87年〈ザ・コンランショップ〉とレストラン〈ビバンダム〉としてオープンする。
1964年にオープンした〈ハビタ〉は、家具からキッチン用品まで扱う画期的な店だった。77年にアメリカ進出するが、商標問題で〈コンランズ〉に変更(右)。
1950年代にデザインしたテキスタイル。
1960年代の建物を改築し、2016年移転オープンになったロンドンのデザイン・ミュージアム。
60年にわたりデザイン界をリードしてきたテレンス・コンラン卿。その人生と業績を自ら振り返る『マイ・ライフ・イン・デザイン』の邦訳版が発売された。昨年11月、新〈デザイン・ミュージアム〉の開館と合わせた英語版の出版時、カーサ ブルータスでは、ミュージアム創設者でもあるコンラン卿に話を聞いている。「人生で一番ハッピーな日です……」。言葉を詰まらせた様子に、デザインに捧げた人生を集大成した感慨が伝わり、深い敬畏の念を覚えた。

1931年生まれのコンラン卿が社会に出たのは戦後まもなく。デザイナーという言葉さえ存在しなかったという。美大でテキスタイルを学んだのを機に、家具などのデザインを開始。弱冠22歳でフード事業にも進出している。「欲しい物や店がないから」というのが、その動機だったと振り返る。64年には〈ザ・コンランショップ〉の前身、〈ハビタ〉をオープンし、モダンなデザインや暮らしを紹介。それはビートルズと時を同じくしてイギリスから始まり、世界中の人々のライフスタイルに影響を与えたと言っていいだろう。

〈ハビタ〉の成功から、レストラン、ホテル、出版や建築にも事業を拡大。その背後にあるのは「生活向上にも、経済発展にも、社会革新にも、デザインは重要な役割を果たす」という信念だ。その一環で、デザイン・ミュージアム創設をはじめ、才能を見いだし世に送り出すなど、デザイン活動へのサポートを惜しみなく行ってきた。

この本は先駆的で傑出したデザイナーにして起業家の人生の記録であり、また戦後のデザイン史でもある。邦題には「成功するデザイナーの法則」とあるが、試行錯誤の連続でもあり、失敗も多々あった。「何事も信念を持って続ければ実現する。失敗を恐れず、まずは始めてほしい」というご本人から直々のメッセージを心に留めて、一読してみてほしい。

テレンス・コンラン卿

イギリス人デザイナー&起業家。傑出した審美眼とビジネスセンスでデザインと食の両面からモダンなライフスタイルを提唱。デザイン・ミュージアム創設など、デザイン支援への功績は多大。

テレンス・コンラン『マイ・ライフ・イン・デザイン』

3,200円(エクスナレッジ刊)。デザイン界の巨匠がその軌跡を分野ごとに振り返りながら、戦後のモダンデザインの歩みとビジネス的発展を明らかにする自伝的な作品集。