土田貴宏の東京デザインジャーナル|パトリシア・ウルキオラが表現する〈カッシーナ〉の新時代。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

土田貴宏の東京デザインジャーナル|パトリシア・ウルキオラが表現する〈カッシーナ〉の新時代。

90周年を迎えた今年、アートディレクターのパトリシア・ウルキオラの手によってさまざまに新機軸を打ち出している〈カッシーナ〉。リニューアルしたカッシーナ・イクスシー青山本店でも、その世界観の一端に触れることができる。

クリエイティブディレクターが、そのブランドのデザインの方向性を決定するのは、ファッションの世界では常識だろう。家具ブランドでも、その役割に相当するポジションを設けるケースは以前から珍しくない。しかし2015年秋にイタリアの名門〈カッシーナ〉が、デザイナーのパトリシア・ウルキオラをアートディレクターに起用したことは、とても大きなニュースになった。現在の家具シーンを代表する彼女の個性が、今までアートディレクターを置かなかった〈カッシーナ〉で発揮されることで、さまざまな波及効果が予想されたからだ。
パトリシア・ウルキオラと、昨年4月に彼女が〈カッシーナ〉から発表した椅子《GENDAR》。
ウルキオラの指揮のもと、それまでの〈カッシーナ〉とは一味違う新作が発表されたのが2016年4月のミラノサローネだった。その後、今年1月のimmケルン国際家具見本市では、直営店の空間デザインの新しいコンセプトとして用いてきた「インストア・フィロソフィー3」がついに完成したことが発表されている。その空間は、カッシーナの豊かな歴史を丹念に読み解きながら、秘められた可能性を未来に向けて提示するものだ。
今年1月のimmケルン国際家具見本市での〈カッシーナ〉の展示空間は「インストア・フィロソフィー3」に基いてデザインされた。
ウルキオラは、「インストア・フィロソフィー3」について、こう語る。

「インストア・フィロソフィー3の先駆けは、2015年11月にオープンしたニューヨークのショップでした。その後、マドリッド、上海、パリといったショップで発展し、今回完成に至ったのです。カッシーナは今年で設立90周年を迎えますが、これは決してブランドの老年期ではなく、新しい青春が始まるタイミングだと私は考えます。いままでアヴァンギャルドを発信し続けてきたカッシーナが、次の時代へと踏み出したのです」