没後30年。倉俣史朗の”幻の照明”が最新技術で蘇る。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

没後30年。倉俣史朗の”幻の照明”が最新技術で蘇る。

1991年に56歳で亡くなった、デザイナーの倉俣史朗。当時の最新テクノロジーを使った照明型オブジェ《SAMBA-M》が、没後30年を機に復刻される。

今年復刻されるワイングラス型のオブジェ《SAMBA-M》。photo_Nacàsa & Partners.
60年代初頭から90年代にかけて活躍した、日本を代表するデザイナーの倉俣史朗。1965年には自身の事務所「クラマタデザイン事務所」を設立し、多くの空間デザイン・家具デザインを手がけた。

倉俣は当時家具に使われることのなかった素材や最新テクノロジーを積極的にデザインに取り入れ、現在にまで残るマスターピースをいくつも生み出した。建築素材であるエキスパンド・メタルを用い、エッジーな造形の中に軽やかさを生み出した《How High The Moon》(1986)や、こちらもエキスパンド・メタルをキャンティレバーのフレームで支え、独特の浮遊感を表現した《Sing, Sing, Sing》(1985)、安藤忠雄設計のカフェのために作られた《Apple Honey》(1985)などの名作チェアが〈ギャラリー田村ジョー〉によって復刻されたのは記憶に新しい。
《How High the Moon》187万5000円。エキスパンド・メタルで構成された輪郭がそのまま構造となっている、デザイン史の中でも重要な一脚。
建築素材であったエキスパンド・メタル。倉俣は新しい素材やテクノロジーを好んで用いた。
《Sing Sing Sing》62万5000円。脚と一体となった肘掛のカーブは4つのRで構成され、なんとも言えない緊張感を生みだしている。
《Apple Honey》30万円。安藤忠雄の設計した京都のカフェレストラン〈モン・プティ・シュー〉のために作られた椅子。シンプルな構成だが、鉄製の座のパーツにステンレスの肘掛けを傷つけずに差し込むには、高い職人の技術が要求される。
そして没後30年を迎えた本年、倉俣が手がけた「幻のオブジェ」が復刻される。1988年に〈AXISギャラリー〉で開催された『"In Spiration"展』で発表された《SAMBA-M》は、当時の最新テクノロジーであった赤色発光ダイオードをワイングラス型のガラスで包んだ照明型のオブジェ。倉俣がパーティの来場者を驚かせるためにデザインしたというだけあり、点灯させると注いだシャンパンが赤く光るユニークな仕様だ。
《SAMBA-M》価格未定。赤い発光ダイオードをグラスの中に仕込んだような姿の、倉俣のユーモアを感じる名作。photo_Nacàsa & Partners.
発表時は製作が難しく少量が世に出ただけだったが、大変高価だったという。クラマタデザイン事務所監修のもと現代の最新技術を使って作られた復刻版は、使い勝手が大幅に向上し、さらに手の届く価格になる予定。お披露目は4月。

《SAMBA-M》

価格未定。問い合わせ:ギャラリー田村ジョー/センプレデザイン・プレス TEL 03 6407 9061。

倉俣史朗

くらまた・しろう。60年代後半から、店舗などの空間デザインと、家具デザインの分野で活躍。浮遊感や儚さを感じさせる独自の世界観は、欧米のデザイン界に大きな衝撃を与え、「クラマタ・ショック」という言葉が生まれたほど。家具の多くはアートとデザインの間に位置するもので、海外からは現代美術の文脈で高く評価されている。
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