DESIGN
今、ディーター・ラムス展に学びたいこと。|土田貴宏の東京デザインジャーナル
December 19, 2020 | Design, Culture | casabrutus.com | text_Takahiro Tsuchida
〈伊勢丹新宿店〉で『LESS BUT BETTER ディーター・ラムス:ブラウンとヴィツゥの世界』展が開催中。20世紀を代表するデザイナーによる「グッドデザインの10箇条」と、その背景にあるスタンスとは。
20世紀後半、特に1950~60年代は、世界中のデザイン関係者が憧れ、常に動向を気にするようなプロダクトブランドがいくつも現れた。アメリカのハーマンミラー、フィンランドのマリメッコ、イタリアのダネーゼなどと並んで、ドイツの家電ブランド〈ブラウン〉もまたその代表格だった。当時の〈ブラウン〉で中心的な役割を担った著名なデザイナー、ディーター・ラムスのエキシビションが〈伊勢丹新宿店〉で開催されている。ラムスは1932年ドイツ生まれ。55年に〈ブラウン〉に入社して、90年代までプロダクトデザイン部門のディレクターを務め数多くの名作を手がけた。
当時のブラウンは、過去に引きずられることなく、革新的な製品を思い切って世の中に提示していく。〈ブラウン〉に入社したラムスが初めて手がけたオーディオシステム《SK 4》(1956年発表)や、翌年発表の後継機《SK 5》は、まさにその革新性によって大きな注目を集めた。オフホワイトとウッドを合わせた筐体に透明アクリルのカバーを載せた優美な姿。それは「白雪姫の棺」のニックネームの通り、当時主流だったオーディオの重厚さともメカっぽさとも無縁のものだった。また1959年発表の《TP 1》はラジオとレコードプレーヤーを一体化した前代未聞の小型ポータブルオーディオで、〈ソニー〉のウォークマンのコンセプトを先取っていたとも評される。
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illustration Yoshifumi Takeda
土田貴宏
つちだ たかひろ デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。
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