〈エースホテル京都〉で堪能するコミューンデザインの編集力|川合将人のインテリアスナップ | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈エースホテル京都〉で堪能するコミューンデザインの編集力|川合将人のインテリアスナップ

インテリアスタイリストが街で見つけた素敵な空間を紹介する連載第11回目は、京都・烏丸御池の〈新風館〉内にオープンした〈エースホテル京都〉。LAのデザインチーム、コミューンデザインが監修した京都のホテル空間は、唯一無二の和洋折衷スタイルが魅力的でした。

新築棟と保存棟の客室をつなぐ2階の廊下から見下ろすロビーのラウンジスペース。隈研吾が監修した木組みの構造物と重なるように天井から鋼管型の照明が配され、空間を華やかに演出している。〈スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ〉のエントランスにはコーヒーポットを描いた柚木沙弥郎の大胆なタペストリーがかかっている(写真左)。
こちらも2階廊下からの眺め。ラウンジと反対側には、1階から中2階、2階へと段々畑のように続くダイナミックな空間構成のバー&タコスラウンジ〈PIOPIKO(ピオピコ)〉が見える。手前のラウンジには彫刻家の宮崎直人と照明ブランド〈ニューライトポタリー〉がコラボレーションしたフロアライトが置かれていました(写真中左)。
烏丸御池のランドマークだった煉瓦造りの〈新風館〉が隈研吾の監修により大きく生まれ変わったのは今年の6月。その中でも最も注目していたのが、初の海外進出を果たしたアメリカ、シアトル発の〈エースホテル京都〉です。空間のデザイン監修を手がけたのは本国のエースホテル同様、LAを拠点に活動するコミューンデザイン。土地や空間の特性に合わせて自由に発想する彼らのスタイルにかねてから興味を持っていた僕も、早速宿泊してきました。
天井の高い保存棟2階の廊下は、等間隔に並んだ太い木製の柱と相まって壮観な眺め。右側には既存にあった旧京都中央電話局の建物を利用した客室が並び、左側の窓は新風館の中庭に面している。
保存棟3階の廊下は、京都中央電話局時代からの連続するアーチ状の意匠が印象的。2トーンに色分けされた壁も含めて廊下は落ち着いた色調でまとめられていて、バーやロビーなどの華やかな空間と好対照をなしている。客室エリアは静かで快適。
〈エースホテル京都〉は吉田鉄郎の設計で1926年に竣工した旧京都中央電話局の建物を生かした保存棟と、新たに増設された新築棟にまたがり全213室の客室が用意されています。
各所に設置されていた小型の案内表示板のひとつ。こちらはウッドパネルなどを組み合わせて作られていて、細かな造りに感動してしまった。ここで使用されている独特の力強いフォントは90歳を超えてなお現役で活動する染色工芸家、柚木沙弥郎の手によるもの。
1階エレベーターホールの壁に使用されているのは信楽焼のタイル。サイズや形状の違う複数の種類を組み合わせたブルーやグリーン系の配色は、どことなく藍染の古布にも似た雰囲気。照明の光がタイルに反射して濃淡を強調する。
各階のエレベーターホールなどに設置されている、タペストリー型の案内表示のひとつ。ポップな配色や図形、"DIRECTORY"のフォントなども柚木沙弥郎によるものだ。
2階エレベーターホールの廊下には、しょうぶ学園の和紙で作られた照明が置かれていた。隣には懐かしい黒電話の姿も。館内の至るところにこのような演出物があるので、移動する度に発見があって楽しくなる。
”East Meets West”をテーマにした館内には、至る所に日本の作家やメーカーが手がけたクラフト作品やアートワークが配置されています。代表的なのは、銅板を叩いて成形した富山〈能作〉のレセプションカウンターや、染色工芸家の柚木沙弥郎の案内表示や全客室の壁面アート、ロビーや階段まわりに点在する浜名一憲の大きな壺などです。


新旧織り交ぜ、コミューンデザインのセンスで選ばれたそれぞれの作品は、時には館内設備と一体になり、あるいは単純な装飾として用いられたりと、実に様々な形で目を楽しませてくれます。プロジェクトのスタートから、作品を含めすべてが完成するまでには、約5年ほどの期間がかかったそうです。

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