石巻から世界へ! コミュニティから生まれたDIY家具メーカー。|行くぜ、東北。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

石巻から世界へ! コミュニティから生まれたDIY家具メーカー。|行くぜ、東北。

かつての水産加工工場を工房にし、元鮨職人が工房長。〈石巻工房〉は、東日本大震災をきっかけに2011年に誕生したDIY家具メーカーだ。「スモール・アウトドア」をコンセプトに、シンプルで機能的、そして木の温もりに包まれた製品をつくっている。

現在、工房の職人は5人。それぞれ自分の持ち場で仕事を淡々と仕上げていく。最近は、ショップやオフィスのコントラクト事業も増え、忙しい日々が続く。
2015年9月、〈石巻工房〉の代表作のひとつである《ISHINOMAKI STOOL》がロンドンの〈ヴィクトリア&アルバート博物館〉のコレクションに選ばれた。400年以上の歴史を誇る同館のコレクションのひとつに〈石巻工房〉の作品が加えられたことは、工房の立ち上げから関わり、現在、代表取締役と工房長を兼務する千葉隆博氏にとっても感慨深いものであった。

2011年4月、東日本大震災からの復興、いや復旧すらままならない石巻で、誰もが大きな不安を抱えていた。そうした時期に、石巻にボランティアとしてやってきたのが建築家の芦沢啓治だった。震災の5か月前、石巻の老舗料亭〈松竹〉の改築に携わっていたこともあり、石巻の状況が気になって仕方がなかったのだ。街は壊滅的な被害を受けていたが、一方で自分自身の手で店舗を修復し、仕事をスタートさせている人もいた。「支援を待っていたのではいつになるかわからない、それなら自分たちの手で生活再建をするのが早い」。芦沢さんはそう感じ、デザイナーや建築家たちに呼びかけ、道具や材料を集め住民たちに提供する“場”をまず作った。〈石巻工房〉の始まりである。
日和山公園から見る石巻の南浜・門脇地区。津波被害に遭ったところは、現在ほぼ更地になっている。
震災の年の夏、野外で映画上映用のベンチが必要だということになるが、石巻にはない。そこで〈石巻工房〉が石巻工業高校の生徒たちに呼びかけ、ベンチ作りのワークショップを開催。上映会用の40台のベンチが2日間でつくられた。また秋には、米国の家具メーカー〈ハーマンミラー〉の職人たちが石巻の仮説住宅を訪れ、持ち運びのしやすい小さなスツールをつくるワークショップを開催する。いずれのワークショップにも芦沢と共に深く関わった千葉氏は、もともと趣味であったDIYの楽しさに魅了されていった。

若干の照れもありつつ「実は鮨屋はそんなに好きではなかった」と話す千葉さん。父と2人で切り盛りしていた鮨店が被災、母も津波で亡くした。「もう鮨屋はいいかな」。そう思い始めた時に遠くアメリカから鮨職人の仕事の話が舞い込む。ビザを申請している間だけ、という気軽な気持ちから手伝い始めた〈石巻工房〉であったが、気づいてみたら工房長になっていた。