遠山正道が立ち上げる、全く新しいコミュニティ「イミグレ」とは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

遠山正道が立ち上げる、全く新しいコミュニティ「イミグレ」とは?

スマイルズの遠山正道が新たなプロジェクトを立ち上げる。その名も「新種のimmigrations」、略して「イミグレ」。会員になるための審査を「入国審査」、会員を「住民」と呼ぶ、まるで小さな国のような、その一風変わった内容とは?

遠山正道による「新種のimmigrations」イメージスケッチ。
スマイルズの遠山正道といえば、1999年に〈スープストックトーキョー〉をスタートさせたことを皮切りにネクタイブランド〈ジラフ〉、セレクトリサイクルショップ〈パスザバトン〉など、さまざまなブランドを創り上げてきた。個人の「こうであったらいいな」というシンプルな思いを事業へと結びつける根っからのファウンダーだ。近年では〈The Chain Museum〉や〈ArtSticker〉など、アートに特化したプロジェクトも率いる。

その遠山が新たに立ち上げる「イミグレ」は、サブスクリプションモデルで、会費は個人が月に1万円、法人(4名まで登録可能)が10万円。決して安くはない金額だが、遠山は「経済と暮らしの実験」と称し「小さいながらも豊かで刺激的な幸せの日常を、会員を信頼し委ねる形で形成していきたい」と語る。遠山に立ち上げの経緯などを聞いた。
谷川俊太郎氏の詩を元に建てられた〈Tanikawa House〉外観。竣工は1974年、設計したのは1925年生まれの建築家・篠原一男だ。
―はじめに「イミグレ」を立ち上げたきっかけから教えて下さい。

遠山 このプロジェクトのひとつのきっかけに、1年前に篠原一男の代表作である北軽井沢の〈Tanikawa House〉を取得したことがあります。ご存知の通り、〈Tanikawa House〉は谷川俊太郎氏の詩を元に建てられた名建築として広く知られているものですが、個人宅ということで、ほとんどの人たちが実際に目にしたことはないという時期が長くありました。昨年にはお披露目として谷川俊太郎さんと谷川賢作さんをお呼びしてライブイベントなども行いましたが、住宅なのに住宅としてなかなかうまく活用できていないというジレンマも抱えていました。

そこで、昨年から、私自身が実際に折に触れて北軽井沢に通って、ひとりこの空間で過ごしてみるようにしました。コロナ禍の影響もあり、特に最近よく通っているのですが、軽井沢の駅からバスで40分、バス停から歩いて20分という非常に不便なところで周りには何もありません。東京にいるときは仕事人間で、毎日会食、会食…だったのに、朝、鳥のさえずりとともに起きる生活。そして、この空間でひとりで過ごすことの喜びを知ってしまいました。そういった喜びを、価値観を共有できる人たちと分かち合いたいという思いが出てきたんです。
緑豊かな北軽井沢〈Tanikawa House〉近辺のイメージ。舗装されていない道が延々と続く。
―〈Tanikawa House〉は〈The Chain Museum〉で保全・運営していくということで、カーサでも以前、プロジェクトに携わる長谷川豪さんにお話を伺いました。〈イミグレ〉の会員はその空間を体験できるということになるのでしょうか?

遠山 〈Tanikawa House〉の見学会のようなものを企画してもいいし、隣の土地に何か会員が共有できる宿泊棟のようなものを建てるところから、一緒に企画してやってもいいかもしれない。私の中には、この名建築=大事なものを預かっているという思いが強くあります。だから、自分が勝手に何かするというのではなく、価値観を共有できる仲間――建築家やさまざまな人達とブレストしながら、みんなでどう活用していったらよいのかを考えていきたいという思いがあります。

私は1992年から〈代官山ヒルサイドテラス〉に住んでいるのですが、今回は〈代官山ヒルサイドテラス〉に小さなスタジオを用意して、会員が自由に活用できるようにします。リモートワークの拠点としてシェアオフィスのような場所にしたり、夜は会員同士のバーにしてもいいかもしれない。家でもオフィスでもない拠点を、都会にひとつ共有する。使い方は会員によってどんどん進化していくことを期待しています。それともうひとつ、箱根に温泉付きの某建築家の小さな部屋も取得予定です。この部屋の復元的改装も、会員と一緒に考えてみたいと思っています。

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