日本のモダンデザイン黎明期の作品が一堂に。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

日本のモダンデザイン黎明期の作品が一堂に。

〈パナソニック汐留美術館〉で『モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展』が開催。モダンデザインによる新たな暮らしを夢見た、1930~60年代頃の作品が集結。

イサム・ノグチ《あかり33S(BB3スタンド)》1952年頃、飛騨・世界生活文化センター蔵
1930年代、世界、そして日本各地で、モダンデザインに新しい上質な暮らしを託し、夢見た人たちの交流があった。1928年、輸出振興のため産業工芸の確立をめざし、日本政府は仙台に初の国立デザイン指導機関〈商工省工芸指導所〉を設立する。ナチス政権の台頭により身の危険を感じたドイツ人建築家ブルーノ・タウトは、1933年に来日。トルコに向け離日するまでの3年半を、最初仙台で、続いて高崎にて工芸のデザイン指導と執筆活動に費やし、日本の知識層に多大な影響を与えた。

近代産業と科学は大量生産を可能にし、それまでの装飾的な表現による美しさに代わり、合理的な機能美を持つモダンデザインを生み出した。そして日本の工芸関係者は、椅子や照明器具といった新しい生活用品を、日本の生活様式になじませようとデザインを模索。その過程において機能主義におさまりきらない卓越した作品が誕生していく。しかし1937年に日中戦争が勃発。やがて建築用資材も統制されるようになった。

第二次世界大戦で潰えたかに見えた彼らの夢は、どのように育ち、受け継がれ、人々の暮らしと価値観にいかなる影響を与えたのか──。『モダンデザインが結ぶ暮らしの夢』展では、1930年代から60年代にかけて芽吹いた、日本におけるモダンデザインの歩みを、工芸品、家具、建築の図面、模型、写真など多彩な作品や資料、約160点の作品、資料を通し検証する。
剣持勇《柏戸椅子T-7165》1961年、松戸市教育委員会蔵
ジョージ・ナカシマ《コノイドチェア》1960(1992)年、武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵
剣持勇《柏戸椅子T-7165》1961年、松戸市教育委員会蔵
ジョージ・ナカシマ《コノイドチェア》1960(1992)年、武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵
会場では、タウトのデザインによる生活用品や、《画帖―桂離宮》を展示。また、彫刻から舞台、庭園、家具のデザインと幅広く作品をのこしたイサム・ノグチの1950年代前半の日本における制作活動や、タウトに家具デザインの原点を教えられた剣持勇の家具のデザインから建築家と協働しアートをとり入れた後年の大規模プロジェクトなども紹介。剣持の《籐丸椅子》や、家具デザイナーのジョージ・ナカシマの《コノイドチェア》など、日本のモダンな暮らしに最適なデザインを探求した、約35点の名作椅子も一堂に会す。

会場構成は、これまで数々の建築展に携わり、2019年度日本建築学会賞(文化)を受賞した前田尚武が担当。柱・梁・床で構成された日本の伝統的空間をモチーフにデザインを施した。

『モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展』

〈パナソニック汐留美術館〉
東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル 4F TEL 03 5777 8600(ハローダイヤル)。2020年1月11日~3月22日、会期中、一部展示替えあり。前期 1月11日~2月11日、後期 2月13日~3月22日。10時~18時、2月7日、3月6日は~20時(最終入館は閉館の30分前まで)。水曜休。一般800円。