古今東西 かしゆか商店【宮島杓子】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【宮島杓子】

『カーサ ブルータス』2019年5月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回は店主ゆかりの広島へ。世界遺産・宮島で江戸時代からつくられている木のしゃもじ、“宮島杓子”の工房を訪ねた。

嚴島神社近くの路地にある〈宮島工芸製作所〉は明治23年創業の木工房。昭和初期から杓子をつくり続けている。工房入口では20種類ほどの杓子を販売。「地元広島の木を中心に使っているんですって」と、かしゆか店主。
広島県廿日市の宮島口から早朝のフェリーに乗って訪ねたのは、小学校の卒業旅行以来の宮島です。なだらかな山を背景に見る嚴島神社の赤い大鳥居が、とてもきれい。

宮島名物の杓子は、江戸時代のお坊さん誓真が、弁財天の琵琶の形からヒントを得て、島民につくり方を教えたのが始まりです。宮島の御神木でつくったため、この杓子でご飯をいただくと幸せになる……という噂が広まって縁起物に。今でも宮島では、ご飯をよそう杓文字を杓子と呼んでいます。
Buying No.13【 宮島杓子】世界遺産の島で生まれた手に温かな木の”しゃもじ”。
今回の買い付け先は、「昔は宮島だけで300人以上の職人がいましたが、今、島内で実用品として量産しているのはウチだけ」という〈宮島工芸製作所〉。
多彩なサンプル。お好み焼きのヘラも。
何段階にも分けてやすりをかけ、表面をなめらかにして汚れを付きにくくする。
多彩なサンプル。お好み焼きのヘラも。
何段階にも分けてやすりをかけ、表面をなめらかにして汚れを付きにくくする。
今回の買い付け先は、「昔は宮島だけで300人以上の職人がいましたが、今、島内で実用品として量産しているのはウチだけ」という〈宮島工芸製作所〉。

良質なヤマザクラやヒノキ、ケヤキなどの板が並ぶ工房で、まずは大まかな型を取る作業を見学します……えっ、エンピツ描き? 板の上に型を置いて鉛筆でなぞるという素朴な手法にもびっくりですが、板の厚みが30mmもあることにも驚きました。厚みは商品によって変えていて、杓子の場合、実は横から見ると、柄が丸くなっていたりヘラ先に向かって絶妙に反っていたり、意外と立体的。そのフォルムを1枚の板から削り出すために、厚い木材を使っているそうです。型を取って粗削りしたら、何工程もかけて形を整え、やすりをかけて磨きます。完成した杓子を指先で触ってみると、隅々まですべすべのなめらかさ。