川村元気が初翻訳。アメリカ、イギリスで100万部を超えた人生寓話。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

川村元気が初翻訳。アメリカ、イギリスで100万部を超えた人生寓話。

ペン一本で描かれた美しいイラストと心に寄り添ってくれるような言葉。2020年イギリスで年間1位の売り上げを記録し、アメリカでも2020年のベストブックに選ばれた、作者デビュー作となる本作を『世界から猫が消えたなら』など数々のベストセラーを発表してきた川村元気が初翻訳。

“いちばんのおもいちがいは”
モグラがいう
“かんぺきじゃないといけないとおもうことだ”


“ケーキよりいいものをみつけた”とモグラ。
“そんなわけないでしょ”とぼく。
“ほんとだって”
“じゃあ、なに?”
“ギューっとしてもらう。
そのほうがながもちする”


とても優しくて、詩的で、美しい本だ。

小説家・フィルムメイカーの川村元気が初めて翻訳を手がけた絵本『ぼく モグラ キツネ 馬』。タイトルの通りに、少年=ぼくが、モグラに会い、キツネに会い、馬に会う。ただそれだけの話。それだけの話なのだけど、ページをめくるごとにあらわれる美しいイラストと示唆的な文章に、いちいち射抜かれてしまうのだ。ペン1本で描かれるイラストも、ストーリー性があるようなないような文章も、読解の余白がたっぷりととられているから、読む人ごとに受けとめるものは違うだろう。

原著の『The Boy, the Mole, the Fox and the Horse』を描(書)いたのは、イギリスのイラストレーター、チャーリー・マッケジー。インスタグラムに発表していた少年と動物の友だちの交流のスケッチが人気を呼び、1冊の絵本にまとまったのが2019年の末。これが異例のロングランとなり、イギリスのAmazonでは2020年の年間総合1位、 アメリカのニューヨークタイムズベストセラーでも2020年の1位を獲得するなど、英米で100万部を超える大ベストセラーに。日本でも反響があり、発売後1ヶ月を待たず累計8万部となっている。

コロナウイルスの感染拡大でロックダウン生活を強いられたり、大切な人々に思うように会えなかったりと、2020年は世界の多くの人々にとって奇妙で忘れられない年。こちらの本、イラストや文章がSNSでもシェアされ続け、それが大ヒットの要因ともなったのだが、それはこの本の底はかとない優しさと美しさが、国境を超えて支持されたからなのだろう。日本語版の翻訳を手がけた川村さんが話す。

「日本語版を刊行して、さっそく数多くの方から“胸を打たれた”と連絡をいただいています。その多くが意外にも大人の男性、女性、しかも“すごく働いている人”“とても忙しい人”です。ふっと、合間の時間で読める本でありながら、なにか深く心の中に入る。最近のこの状況において、どこかぎすぎすして疲れている人たちを“救う本”だからこそ、イギリスやアメリカでここまでベストセラーになったのだなと思います」

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