写真家ドアノーが撮った、音楽が流れる街パリ。
パリの市井の人々を捉えた作品で有名な、フランスの巨匠写真家ロベール・ドアノー。彼の音楽的感覚に富んだ作品を集めた展覧会『写真家ドアノー/音楽/パリ』が、2021年2月5日より、東京・渋谷の〈Bunkamura ザ・ミュージアム〉で開かれます。
今回の展覧会は、ドアノーが生涯撮り続けた作品の中から音楽に焦点を当て、シャンソン歌手やミュージシャン、街の流しの唄い手、ジャズやオペラのスターなどを捉えた写真約200点で構成される。
ドアノーが街を歩き回って漁った当時のイメージに一瞬、郷愁を覚えるものの、その断片なり印象なりがあまり変わることなく、60年以上経った現代のパリにも実在していることに驚かされる。木村伊兵衛の銀座はもうどこにもないが、ドアノーのパリはかすかに、確かに残っているのだ(余談だが、木村伊兵衛は写真集『パリ』を発表しており、渡仏した際にドアノーの案内でパリを撮影した)。
展覧会の監修はドアノーの孫娘で、2016年に映画『パリが愛した写真家ロベール・ドアノー〈永遠の3秒〉』を監督したクレモンティーヌ・ドルディル。時を超えて輝きを放ち続ける写真には、多くの日本初公開作品も含まれる。コロナ禍で海外旅行がままならぬ今、この展覧会が、ひとときパリの残影に浸らせてくれることだろう。
『写真家ドアノー/音楽/パリ』
〈Bunkamura ザ・ミュージアム〉東京都渋谷区道玄坂2-24-1。2021年2月5日〜3月31日(3月20日、21日、27日、28日のみオンラインによる入場日時予約あり)。10時〜18時(金・土曜〜21時、入館は30分前まで)。会期中無休。TEL 050 5541 8600(ハローダイヤル)。入館料1,500円。
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ロベール・ドアノー
1912年、パリ郊外ジャンティイ生まれ。自動車メーカー〈ルノー〉のカメラマンとして活動したのち、フリーランスとして独立。雑誌『ヴォーグ』や『ライフ』でファッション写真を始めとした多くの写真を発表。1994年没。ロベール・ドアノー 《セルフポートレート》ヴィルジュイフ 1949年 ©Atelier Robert Doisneau/Contact。