VEHICLE
Chill CARS|風を切って走りたい、唯一無二の優雅なロードスター。
『カーサ ブルータス』2018年3月号より
February 13, 2018 | Vehicle | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
ひと言でこのクルマを表現するなら2人乗りのオープンモデル、といたってシンプル。〈メルセデス・ベンツ〉が1971年に発売した3代目の《SL》は、しかし実は、語るべきことの多いクルマだ。
《SL》は57年発表の初代以来、同社が作り続けている2座のスポーツモデル。優雅なスタイルとパワフルな走りに加え、大きな荷室と快適な乗り心地を持つ。ここで取り上げる3代目は、これまでの6気筒に替えてV8エンジンを搭載して大型化。衝撃吸収構造の車体設計など、衝突安全性を高めたのも特徴だ。乗員保護のため比較的ソフトな合成樹脂で覆われたダッシュボードや、大型のヘッドレストを備えている。ATの変速操作を確実にするためのジグザグゲートや、泥はねから視認性を確保するために畝を持ったウインカーレンズもユニーク。ウッドパネルは割れてしまった場合を考えてアルミニウム板で裏打ちし、透明樹脂でコーティング。独自の安全思想が詰まっている。
3代目《SL》の特徴はもう一つ。スタイリングの美しさだ 。乗員が乗るキャビンの後ろのボディがすっと長い。それがエレガンスを感じさせる。車体は薄く低く見え、そのバランスの良さが、今もこのクルマを魅力的に感じさせる。〈メルセデス〉が社内で使うコード名はR107。Rはロードスターの意味だ。幌をかけた姿も悪くないが、できればオープンで乗るのがいい。風を切って走る爽快さは時代を経ても不変だからだ。
3代目《SL》の特徴はもう一つ。スタイリングの美しさだ 。乗員が乗るキャビンの後ろのボディがすっと長い。それがエレガンスを感じさせる。車体は薄く低く見え、そのバランスの良さが、今もこのクルマを魅力的に感じさせる。〈メルセデス〉が社内で使うコード名はR107。Rはロードスターの意味だ。幌をかけた姿も悪くないが、できればオープンで乗るのがいい。風を切って走る爽快さは時代を経ても不変だからだ。