VEHICLE
Chill CARS|《シトロエン GSA》理想主義的な設計を突き詰めた、不世出の小型車。
『カーサ ブルータス』2025年4月号より
| Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
「理想主義」という言葉が使われることがあるが、それを連想させる一台がある。〈シトロエン〉が1970年に発表した小型車《GS》である。
彼らは、理想とする優れた小型車を作るため、採算性・生産性をも度外視した高度な設計を盛り込んだ。《GS》は、理想主義的なクルマと言えた。
《GS》には、同社の上級車《DS》の高度な油気圧サスペンションを搭載。乗り心地の良さと高い安全性・操縦性を実現した。車体に比べコンパクトなエンジン、長いホイールベースにより広い車内を有し、当時では異例なほどに高水準な小型車だった。
そして、79年に改良を受け《GSA》に発展。室内容積と空力を両立する猫背のファストバックスタイルや、フェンダーが後輪を覆う《GS》の意匠はそのままに、樹脂製バンパーなどの採用により外観を近代化していた。
内装は前衛的なデザインに更新。ドライバー眼前の2本の筒や、円筒に数字を書いたアナログ式デジタルメーターなど、類を見ない設計が目を引く。しかしスイッチは合理的な配置で、慣れるとその操作性の良さに驚かされる。ギョッとする見た目より合理的な設計を優先した結果なのだが、これもまた理想主義を追求した一端だろう。
さまざまな制約の中でクルマの開発が行われている現代では、今後ここまで理想主義を突き詰めたクルマが生まれてくることはないはず。《GSA》は、まさに不世出の小型車と呼べるのだ。
《GS》には、同社の上級車《DS》の高度な油気圧サスペンションを搭載。乗り心地の良さと高い安全性・操縦性を実現した。車体に比べコンパクトなエンジン、長いホイールベースにより広い車内を有し、当時では異例なほどに高水準な小型車だった。
そして、79年に改良を受け《GSA》に発展。室内容積と空力を両立する猫背のファストバックスタイルや、フェンダーが後輪を覆う《GS》の意匠はそのままに、樹脂製バンパーなどの採用により外観を近代化していた。
内装は前衛的なデザインに更新。ドライバー眼前の2本の筒や、円筒に数字を書いたアナログ式デジタルメーターなど、類を見ない設計が目を引く。しかしスイッチは合理的な配置で、慣れるとその操作性の良さに驚かされる。ギョッとする見た目より合理的な設計を優先した結果なのだが、これもまた理想主義を追求した一端だろう。
さまざまな制約の中でクルマの開発が行われている現代では、今後ここまで理想主義を突き詰めたクルマが生まれてくることはないはず。《GSA》は、まさに不世出の小型車と呼べるのだ。
country: France
year: 1979-86
seats: 5
size: L4,195×W1,630×H1,350mm
price: approx 1,800,000 yen
year: 1979-86
seats: 5
size: L4,195×W1,630×H1,350mm
price: approx 1,800,000 yen
special thanks to Yoshiji Sawada
※データと価格は撮影車両を参考に算出したものです。
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