VEHICLE
Chill CARS|時代の要請に応えて生まれた、ポップなコンパクトカー。
『カーサ ブルータス』2023年4月号より
March 10, 2023 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
高度経済成長期真っただ中の1960年代末から70年代にかけて、人々はより高級で嗜好性の高い製品を求め始めた。クルマもその例にもれず、簡潔だった軽自動車やコンパクトカーも、高性能エンジンや派手な内外装を得るまでに至る。
しかし73年の第一次オイルショックによって、省エネや実用性が叫ばれるように変わる。77年に登場した〈ダイハツ〉のコンパクトカー《シャレード》は、そんな時勢に見事に応えたクルマだ。小さい車体ながらも長いホイールベースで広い室内を確保。1リッターという最小限の排気量から、十分な性能と省燃費を引き出していた。このように利便性・合理性を重視した設計と、79年の第二次オイルショックが重なって、《シャレード》はヒットを記録した。
しかし《シャレード》が売れたのは、設計や時代背景だけではない。強めのカーブを描くボンネットやサイドのキャラクターライン、四隅に追いやられたタイヤがもたらす躍動感は、《シャレード》の高いデザインセンスの一端だ。特に今回撮影したクーペは、太いピラーに正円の窓(マリンウィンドウ)が開けられており、外観にポップさと洒落っ気を付加することにも成功している。
省エネで佇まいが良いことは、現在のコンパクトカーでも重要なキーワードである。それを《シャレード》は45年も前に実現していた。懐かしくも新鮮なのは、当時からこのクルマが備えていた高い先進性ゆえだろう。
しかし《シャレード》が売れたのは、設計や時代背景だけではない。強めのカーブを描くボンネットやサイドのキャラクターライン、四隅に追いやられたタイヤがもたらす躍動感は、《シャレード》の高いデザインセンスの一端だ。特に今回撮影したクーペは、太いピラーに正円の窓(マリンウィンドウ)が開けられており、外観にポップさと洒落っ気を付加することにも成功している。
省エネで佇まいが良いことは、現在のコンパクトカーでも重要なキーワードである。それを《シャレード》は45年も前に実現していた。懐かしくも新鮮なのは、当時からこのクルマが備えていた高い先進性ゆえだろう。
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