FOOD
京のおやつと箸休め|〈京菓子司 金谷正廣〉の香魚。
July 23, 2019 | Food | casabrutus.com | photo_Kunihiro Fukumori text_Shoko Nishimura
江戸時代末期創業の〈京菓子司 金谷正廣〉がつくる、鮎の塩焼きを模した夏季限定の半生菓子が妙にリアルでかわいい。
涼菓といえば葛や琥珀といった口当たりのよいものが主流だが、ちょっと変わり種の和菓子を発見。江戸時代末期創業の〈京菓子司 金谷正廣〉が30年ほど前から作っている夏季限定の半生菓子で、抽象的な表現が多い京都にあって、妙にリアルでかわいい。
「香魚」とは鮎のことを言い、川底の石に生えている藻を餌にし、夏には旨味とともに香りも立つことからこう呼ばれている。和菓子の鮎といえば、どら焼きの皮で求肥を包んで焼き印を押したものが多く見られるが、これは京都でも珍しい塩焼きを模したもの。
見た目は塩気を感じさせるほどよくできているが、想像に反してとても甘い! 粗塩のように見えるのは砂糖で、生地の表面は和三盆糖と大和芋を合わせた落雁、その中には餡が隠れている。代々受け継がれた木型を使って落雁を鮎の形に打ち出し、活きた鮎のようにしならせて串を打ち、表面に卵黄を塗り、バーナーで炙って焼き色に。さらに餡には海苔を加え、餌の藻類を想わせる香る魚らしいひと工夫もされている。
お客の中には長い竹串を別注して囲炉裏で焼いているかのように立てて盛りつけ、茶会の趣向にする茶人もいるとのこと。また、店の銘菓で「苔のむす豆」と例えられた「真盛豆」を添えるのも一興。鮎と苔玉のようになり、夏の風物詩と化す。
形の楽しさにぐっと引き寄せられるが、取り合わせや使い方で涼菓となるあたりは日頃から茶菓子をたしなむ京都ならでは。夏のおもてなしとなり、手土産にもなる。
「香魚」とは鮎のことを言い、川底の石に生えている藻を餌にし、夏には旨味とともに香りも立つことからこう呼ばれている。和菓子の鮎といえば、どら焼きの皮で求肥を包んで焼き印を押したものが多く見られるが、これは京都でも珍しい塩焼きを模したもの。
見た目は塩気を感じさせるほどよくできているが、想像に反してとても甘い! 粗塩のように見えるのは砂糖で、生地の表面は和三盆糖と大和芋を合わせた落雁、その中には餡が隠れている。代々受け継がれた木型を使って落雁を鮎の形に打ち出し、活きた鮎のようにしならせて串を打ち、表面に卵黄を塗り、バーナーで炙って焼き色に。さらに餡には海苔を加え、餌の藻類を想わせる香る魚らしいひと工夫もされている。
お客の中には長い竹串を別注して囲炉裏で焼いているかのように立てて盛りつけ、茶会の趣向にする茶人もいるとのこと。また、店の銘菓で「苔のむす豆」と例えられた「真盛豆」を添えるのも一興。鮎と苔玉のようになり、夏の風物詩と化す。
形の楽しさにぐっと引き寄せられるが、取り合わせや使い方で涼菓となるあたりは日頃から茶菓子をたしなむ京都ならでは。夏のおもてなしとなり、手土産にもなる。