FOOD
〈PATH〉原シェフの新店はミクスチャーロックだ!
『カーサ ブルータス』2019年6月号より
| Food | a wall newspaper | photo_Kenya Abe text_Kei Sasaki
フレンチの話題店を次々に仕掛けるシェフが、居心地のいいカフェの今を考えました。
渋谷と代々木八幡でセンス抜群のビストロを経営する原太一シェフ。お次は白金台、プラチナ通り沿いにレストランをオープン。アパレルショップの3階にあり、店内は広く、天井の高低差があって、ゆったりとしたテラスもある。都内ではなかなかお目にかかれない贅沢な空間で、まず目に飛び込んでくるのは、一角に置かれたバンドセットだ。
「いつかこういう“遊び”をやってみたかったんですよね」
90年代のカフェブームの洗礼を受けて育った世代。実は飲食の世界に入ったのも、カフェがきっかけだったという。手触りはラフだけれど、デザインはちょっと尖ったクールな空間で、好きな音楽をかけて料理を出す。その料理が、すごくおいしかったら素敵じゃない、と町場の店から〈キュイジーヌ[S]ミッシェル・トロワグロ〉のようなガストロノミーレストランまでフレンチの世界で幅広く修業し、オープンしたのが〈ビストロ ロジウラ〉であり〈パス〉だった。あの2軒の「これまでのビストロにない、イケてるけど、言葉じゃうまく言えない感じ」は計算済みの演出だったというわけ。
「いつかこういう“遊び”をやってみたかったんですよね」
90年代のカフェブームの洗礼を受けて育った世代。実は飲食の世界に入ったのも、カフェがきっかけだったという。手触りはラフだけれど、デザインはちょっと尖ったクールな空間で、好きな音楽をかけて料理を出す。その料理が、すごくおいしかったら素敵じゃない、と町場の店から〈キュイジーヌ[S]ミッシェル・トロワグロ〉のようなガストロノミーレストランまでフレンチの世界で幅広く修業し、オープンしたのが〈ビストロ ロジウラ〉であり〈パス〉だった。あの2軒の「これまでのビストロにない、イケてるけど、言葉じゃうまく言えない感じ」は計算済みの演出だったというわけ。
で、前置きが長くなったが〈LIKE〉。今回は「フレンチ」という縛りもナシ、インテリアから料理までごちゃまぜで作った店だ。ライブハウスのようなバンドセットに北欧アンティークの家具を並べて、料理も中国、韓国、台湾のエッセンスを自由に織り交ぜたミクスチャー。器も北欧から日本まで、各国のクラフトが中心。キムチあり、水餃子あり、担々麺まで。そんなメニューの中に、パテ・ド・カンパーニュやフムスを添えた仔羊の豪快な炭火焼きなど、フレンチのシェフならではの一品がちりばめられている。ワインは世界各国のナチュラルワイン。チーズもフランス産のとびきりがそろうのはワイン好きにはうれしい限りである。ワインのほかにも、クラフトビールあり、恵比寿のバー〈トレンチ〉監修のオリジナルカクテルあり。どこまでも気が利いている。
「元々、中華もエスニックも大好きなんです。気軽に行けるアジアの近隣諸国を旅すると、食のポテンシャルがすごくて。そういう刺激を、瞬発的にアウトプットできる場があれば楽しいな、と」
壁に掛けられたアート作品の多くは、原シェフの個人コレクション。目的もなく「欲しい」と、思ったものを買い集めていたというものが、我が場を得たりという様子である。フレンチシェフ発信のミクスチャー。2019年版自由なレストランの最新形だ。
壁に掛けられたアート作品の多くは、原シェフの個人コレクション。目的もなく「欲しい」と、思ったものを買い集めていたというものが、我が場を得たりという様子である。フレンチシェフ発信のミクスチャー。2019年版自由なレストランの最新形だ。
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東京都港区白金台4-6-44 3F TEL 03 5422 8183。11時30分〜14時、18時〜22時LO。月曜、第2・第4日曜休。東京メトロ白金台駅より徒歩10分。ランチタイムはセットメニューを提供。カツカレー1,500円、担々麺1,600円ほか。

原太一
はらたいち 1981年生まれ。〈Bistro Rojiura〉、代々木八幡〈PATH〉オーナシェフ。ケータリングやイベントのフードプロデュース等も手がける。
