DESIGN
柳宗悦×深澤直人の審美眼が光る「民藝展」|土田貴宏の東京デザインジャーナル
November 26, 2018 | Design | casabrutus.com | photo_Sohei Oya (Nacasa & Partners) text_Takahiro Tsuchida
21_21 DESIGN SIGHTで、デザイナーの深澤直人がディレクションする「民藝展」が開催されている。「健康な美」「尋常な美」の宝庫である民藝というものを、現代的な直観を生かしてとらえた斬新な展覧会だ。
あの日本民藝館の所蔵品を、あの深澤直人が選ぶ。それだけで、この展覧会には大きな意義がある。日本民藝館を創立したのは、民藝という言葉の発案者で、思想家や蒐集家としても稀代の存在だった柳宗悦。彼が自ら集めた1万7,000点に及ぶ作品が、その所蔵品の中核をなしている。民藝とは、民衆が使うために民衆によって作られた工芸を指す。ただし日本民藝館は、単に各地の民藝を網羅した博物館ではない。「どこまでも品物の美しさを主にした立場をとる」と柳が述べたように、早くから各地を訪ねて膨大な量の民藝に触れた彼は、高い審美眼によって究極的に美しい逸品だけを手元に置いた。だから日本民藝館の所蔵品は、同じ時代、同じ地域に生まれたものの中でも別格の優品揃いなのだ。
そして深澤直人は、世界の第一線で活躍するデザイナーとしてすでに説明不要の存在だ。日常の中に普通に存在するものの中から、無意識のうちに人が好んでいる形や機能を見出すことについて、彼もまた超人的な目をもっている。だからこそ無印良品や世界的な家具ブランドを通して、暮らしの中に溶け込みながら愛着を抱かせるものを数多く発表してきた。今回の展覧会は、21_21 DESIGN SIGHTのディレクターのひとりであり、2012年から日本民藝館館長も務める彼が、以前からあたためていた企画をついに実現させたものだ。
深澤は民藝館の収蔵庫に自由に入れるという館長の特権のもと、所蔵品の中から直観で146点の展示品を選んでいったという。民藝から受ける印象について、彼はこう話している。
「収蔵庫では本当にビックリさせられるんです。なんでこんな形になるんだ、なんでこんなにかわいんだ、という強烈なインプレッションがある。民藝ヤバイんじゃないか、と。それを来場する方にも感じてほしい」
会場構成は、ものが生まれた時代やジャンルよりも、彼の直観を反映するようなレイアウトを取り入れた。それぞれの展示台には深澤によるリアルな言葉が添えてあり、独特の視点を伝えている。
「収蔵庫では本当にビックリさせられるんです。なんでこんな形になるんだ、なんでこんなにかわいんだ、という強烈なインプレッションがある。民藝ヤバイんじゃないか、と。それを来場する方にも感じてほしい」
会場構成は、ものが生まれた時代やジャンルよりも、彼の直観を反映するようなレイアウトを取り入れた。それぞれの展示台には深澤によるリアルな言葉が添えてあり、独特の視点を伝えている。
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土田貴宏
つちだ たかひろ デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。
