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興福寺中金堂落慶法要献茶式で使われた現代作家の茶道具たち。
| Design | casabrutus.com | photo_Tadayuki Minamoto text_Mari Matsubara
300年ぶりに再建された奈良・興福寺中金堂の落慶法要献茶式が10月7日から5日間連続で催された。その大役を担った千宗屋氏が献茶道具を新調するにあたり依頼したのは、現代の工芸界で人気の作り手たちだった。
国宝阿修羅像を所蔵する古刹として有名な興福寺は710年創建。伽藍の中心に位置する最も重要な「中金堂」は721年の建立から6回も焼失・再建を繰り返し、1717年の焼失を最後に、小規模な仮堂が作られたままだった。その中金堂を300年ぶりに創建当時の様式で再建し、2018年10月に落慶を迎えたとあって、仏教界および日本の和建築にとってのビッグニュースになっている。
約2時間の落慶法要は5日間連続して行われ、法要の一部として献茶がなされたが、それをつかさどったのが『カーサブルータス』誌上で度々登場している武者小路千家家元後嗣・千 宗屋(隨縁斎/ずいえんさい)さんだ。
約2時間の落慶法要は5日間連続して行われ、法要の一部として献茶がなされたが、それをつかさどったのが『カーサブルータス』誌上で度々登場している武者小路千家家元後嗣・千 宗屋(隨縁斎/ずいえんさい)さんだ。
日本美術の目利きである一方、現代工芸への目配りも欠かさない千さんは、献茶式のための道具を、工芸界で活躍している人気作家に依頼した。いわゆる伝統的な茶道具製作師ばかりではなく、私たちにもなじみのある器屋さんやギャラリーで作品を目にする話題の若手作家を起用したところに、千さんの狙いがあった。伝統とはつねに新しい火を注いでともし続ける燈(伝燈)なのだというメッセージだ。
