DESIGN
ジル・サンダー×マルセル・ブロイヤー、バウハウスに連なる名作椅子が時を超えてコラボレート!
| Design, Fashion | casabrutus.com | text_Ayako Kamozawa editor_Keiko Kusano
モダンデザインの名作をリデザインする試みはこれまでにもあったが、このコラボレーションは異色で意欲的だ。ファッションという異なるジャンルからの新鮮な視点が、100年近く前のデザインに新たな魅力を吹き込み、より一層の輝きをもたらした。
意表をつくジル・サンダーへの依頼
ファッション・デザイナー、ジル・サンダーが、マルセル・ブロイヤーの名作椅子《S64》カンティレバーのアームチェアを再解釈。──この一報が世界を駆け巡ったのは今年2月のことだった。1929年に発表されたこの椅子は、現在でも家庭はもちろんのこと、オフィスや商業施設など至る所で目にするファニチャー・クラシック。バウハウスで学び、また後に教鞭をとったマルセル・ブロイヤーが、スチールパイプを用いて作り上げた画期的な作品だ。その名作の再解釈とは、それだけでも意欲的なプロジェクトだが、ファッションデザイナーであるジル・サンダーが登用されたことに意表をつかれた。4月にはミラノデザインウィークでお披露目となった。コレクションの名は「JS. THONET」だ。
同作を発表当時から製造するトーネット社のCEO兼クリエイティブディレクター、ノーベルト・ルフは言う。
「約3年前のことです。私たちの製品に新たな視点を加えるため、あえてインテリアデザインやプロダクトデザインではない別の創造的な視点から何か新しいものを生み出したいと思い、このアイデアをトーネットにもデザインを提供している家具デザイナーのセバスチャン・ヘルクナーに提案したのです」(ノーベルト・ルフ)
ファッションデザイナーであるジル・サンダー本人は、もちろん別の視点を持つに違いないが、なぜ彼女に白羽の矢を立てたのか?
「ジル・サンダーの作品とトーネットの価値観には多くの共通点があります。どちらも素材、職人技、デザイン、さらに完成品の品質において、極めて厳格な姿勢を貫いています。そして時代を超越したデザインと、細部にこだわった革新的なアプローチによって、長く愛用してもらえる製品を目指していることも同じです」(ルフ)
家具デザインは経験がなかったジル・サンダーは、依頼を受けて、まずトーネット社の工場を訪れたという。そこで伝統的な曲げ木の工程など「献身的な職人技」(ジル・サンダー)に深い感銘を受けた彼女はマルセル・ブロイヤーのカンティレバーチェアを再解釈するという「魅力的な挑戦」(ジル・サンダー)に挑むことを決めたという。
「この椅子はあまりにもクラシックな作品であり、あまりにも注目されすぎて当たり前のものとなっていたため、少し飽きられてしまっていたのかもしれません。現代の美的感覚に基づいた新鮮な視点で、この椅子を体験してもらいたいと思ったのです」(サンダー)
「約3年前のことです。私たちの製品に新たな視点を加えるため、あえてインテリアデザインやプロダクトデザインではない別の創造的な視点から何か新しいものを生み出したいと思い、このアイデアをトーネットにもデザインを提供している家具デザイナーのセバスチャン・ヘルクナーに提案したのです」(ノーベルト・ルフ)
ファッションデザイナーであるジル・サンダー本人は、もちろん別の視点を持つに違いないが、なぜ彼女に白羽の矢を立てたのか?
「ジル・サンダーの作品とトーネットの価値観には多くの共通点があります。どちらも素材、職人技、デザイン、さらに完成品の品質において、極めて厳格な姿勢を貫いています。そして時代を超越したデザインと、細部にこだわった革新的なアプローチによって、長く愛用してもらえる製品を目指していることも同じです」(ルフ)
家具デザインは経験がなかったジル・サンダーは、依頼を受けて、まずトーネット社の工場を訪れたという。そこで伝統的な曲げ木の工程など「献身的な職人技」(ジル・サンダー)に深い感銘を受けた彼女はマルセル・ブロイヤーのカンティレバーチェアを再解釈するという「魅力的な挑戦」(ジル・サンダー)に挑むことを決めたという。
「この椅子はあまりにもクラシックな作品であり、あまりにも注目されすぎて当たり前のものとなっていたため、少し飽きられてしまっていたのかもしれません。現代の美的感覚に基づいた新鮮な視点で、この椅子を体験してもらいたいと思ったのです」(サンダー)
Loading...
Loading...
