Casa BRUTUS
  • BOARD
DESIGN

布に宿る記憶を次に繋ぐ。韓国の縫製作家チェ・ヒジュの展示が東京・白金の〈YAECA HOME STORE〉で開催中。

| Design | casabrutus.com | text_Yoshinao Yamada

韓国の伝統的な天然繊維を使い、自然にインスピレーションを受けたオブジェや生活のための小物などを製作する縫製作家、崔希朱(チェ・ヒジュ)。拠点のソウルと日本を往来しながら制作活動を続ける崔の展示が、東京・白金のライフスタイルショップ〈YAECA HOME STORE〉にて4月27日まで開催されている。

韓国の伝統的な白磁をモチーフにした麻布の箱。もともとは生成りだった布を何度も洗っては日にあてて干し、太陽光で色を抜いたことでやさしい白にした。光とボリュームを含んだ器を作りたいとの思いから生まれたシリーズ。
韓国の伝統的な白磁をモチーフにした麻布の箱。もともとは生成りだった布を何度も洗っては日にあてて干し、太陽光で色を抜いたことでやさしい白にした。光とボリュームを含んだ器を作りたいとの思いから生まれたシリーズ。
韓国の伝統的な服にポケットはなく、チュモニという巾着を持ち歩く。それをモチーフにした小さなチュモニの作品。豊作の祈りを込めて王様が部下に赤い紙に包んだ大豆を渡したという昔話をモチーフに、チュモニのなかには3つの大豆を封入。「小さな福を重ねる」という祈りを込めている。
韓国の伝統的な服にポケットはなく、チュモニという巾着を持ち歩く。それをモチーフにした小さなチュモニの作品。豊作の祈りを込めて王様が部下に赤い紙に包んだ大豆を渡したという昔話をモチーフに、チュモニのなかには3つの大豆を封入。「小さな福を重ねる」という祈りを込めている。
韓国の伝統的な白磁をモチーフにした麻布の箱。もともとは生成りだった布を何度も洗っては日にあてて干し、太陽光で色を抜いたことでやさしい白にした。光とボリュームを含んだ器を作りたいとの思いから生まれたシリーズ。
韓国の伝統的な服にポケットはなく、チュモニという巾着を持ち歩く。それをモチーフにした小さなチュモニの作品。豊作の祈りを込めて王様が部下に赤い紙に包んだ大豆を渡したという昔話をモチーフに、チュモニのなかには3つの大豆を封入。「小さな福を重ねる」という祈りを込めている。
崔の作品は、日々出会う花、実、木などの自然物、そして祖母と母の時代から受け継いだ貴重な生地で表現される。その布はたとえば夏の韓服に使われるモシ(麻のなかでもイラクサ科のカラムシを使った高級な布で、軽く、中が透けて見えるほどに薄い)など、主に祖母や母親から受け継いだものを使う。
今回のために制作された 《毎日が満月》。母を想う気持ちが作品の原点にある。
今回のために制作された 《毎日が満月》。母を想う気持ちが作品の原点にある。
母の友人が大切にしていた布を用いた作品。この薄く透けるような美しい布は、現代ではもう作れない貴重なものと崔。布自体に価値があり、手を加えるのは最低限に留めていると。シルクのように軽い器は、光を入れたいという。はなびらも同じ布のきれはしを使う。
母の友人が大切にしていた布を用いた作品。この薄く透けるような美しい布は、現代ではもう作れない貴重なものと崔。布自体に価値があり、手を加えるのは最低限に留めていると。シルクのように軽い器は、光を入れたいという。はなびらも同じ布のきれはしを使う。
日本の薄くて繊細な古い絹布を使って制作された箱形の作品。
日本の薄くて繊細な古い絹布を使って制作された箱形の作品。
今回のために制作された 《毎日が満月》。母を想う気持ちが作品の原点にある。
母の友人が大切にしていた布を用いた作品。この薄く透けるような美しい布は、現代ではもう作れない貴重なものと崔。布自体に価値があり、手を加えるのは最低限に留めていると。シルクのように軽い器は、光を入れたいという。はなびらも同じ布のきれはしを使う。
日本の薄くて繊細な古い絹布を使って制作された箱形の作品。
今回のために製作された《毎日が満月》は、崔の母が60年間使い続けた大切な綿布団を使ったという。離れて暮らすものの、同じ月を見上げる母への想いを込めて制作された。その繊細な作品は、彼女が母を想う気持ちのようにものを慈しむ気持ちをわかせるものだろう。

同じように、韓国の伝統文化や風習をモチーフにした作品も多い。韓国には、新しい家や店を構えると玄関先に干したミョンテ(タラ)を吊すことで悪い運気を追い払うという風習があるという。崔がその風習を現代的に解釈した作品が《モシミョンテ》だ。
モシの布に負荷がかからないよう、慎重に丸い綿を詰めて胴体を作り、青い糸で目と頭に刺繡を施し、尻尾は金糸で飾った《モシミョンテ》。布製のミョンテを作る人は増えたそうだが、崔はそれを作り始めた第一人者だという。
モシの布に負荷がかからないよう、慎重に丸い綿を詰めて胴体を作り、青い糸で目と頭に刺繡を施し、尻尾は金糸で飾った《モシミョンテ》。布製のミョンテを作る人は増えたそうだが、崔はそれを作り始めた第一人者だという。
「質の良い木綿糸を108回巻いたかせ糸でミョンテを括りました。眺めることで心が落ち着き、笑顔になれますように。毎日が幸せでありますように」と、崔。タラの目で悪い運気を追い払い、きれいに巻いた糸で福が舞い込むことを願って制作したという。こうして自然素材を用いた崔の作品は月日とともに、表情は変化を続ける。
日本同様、韓国でも、寺院、海、山などで石を積む文化があるという。これをモチーフに「想いを積む」ことをテーマとしたオブジェ。7つの石は一週間を表し、1日ずつ積み上げながら「今日もいい1日となるように」と祈りを込めるものだと崔はいう。
日本同様、韓国でも、寺院、海、山などで石を積む文化があるという。これをモチーフに「想いを積む」ことをテーマとしたオブジェ。7つの石は一週間を表し、1日ずつ積み上げながら「今日もいい1日となるように」と祈りを込めるものだと崔はいう。
重みを感じる黒の作品に対し、白はふわりと軽い印象をもつ。時間をかけて洗いざらした布は独特な質感。
重みを感じる黒の作品に対し、白はふわりと軽い印象をもつ。時間をかけて洗いざらした布は独特な質感。
日本同様、韓国でも、寺院、海、山などで石を積む文化があるという。これをモチーフに「想いを積む」ことをテーマとしたオブジェ。7つの石は一週間を表し、1日ずつ積み上げながら「今日もいい1日となるように」と祈りを込めるものだと崔はいう。
重みを感じる黒の作品に対し、白はふわりと軽い印象をもつ。時間をかけて洗いざらした布は独特な質感。
かつて日本にもボロのように先人たちが愛した布を受け継ぐ文化が広くあった。韓国はいまも、ポシャギをはじめとする先人の愛した布を大切にする文化がある。崔は、家族や大切な人から受け継いだ布を使用することで思いを繋ぎ、祈りを続ける作家だ。まずはその繊細な仕事に触れてほしい。

チェ・ヒジュ展

〈YAECA HOME STORE〉東京都港区白金4-7-10。〜2025年4月27日。11時〜19時。火曜休。入場無料。

Pick Up注目記事

Recommend厳選おすすめ

ワラシちゃん占い

61日のお告げ
Casa iD

登録すると、会員限定の3大特典が手に
入ります。しかも無料。今すぐ、登録を!

メルマガ登録 (無料)

本誌発売日などにメルマガをお届け!

ご登録頂くと、弊社のプライバシーポリシーとメールマガジンの配信に同意したことになります。