DESIGN
ル・コルビュジエ設計住宅がただ今売りに出ています!
『カーサ ブルータス』2025年3月号より
| Design, Architecture | a wall newspaper | photo_(c) Manuel Bougot photographer – FLC/ADAGP 2025 text_Chiyo Sagae
ル・コルビュジエとジャンヌレによる彫刻家のアトリエ邸宅〈ミスチャニノフ邸〉が販売中につき、その内部を公開中!
ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレがラ・ロッシュ邸やサヴォア邸を設計した1920年代は、「近代建築の5原則」の確立へ向けて革新的に個人邸を多数手がけた時代。前衛芸術家らの邸宅を数々設計し、それらの多くはパリとその近郊に今も残る。その一つ、ロシア人彫刻家オスカー・ミスチャニノフのアトリエ邸宅が現在売りに出されている。
パリ南西のブローニュ=ビヤンクールの閑静な住宅街に、クリーム色の外壁、一角が曲面のパクボー(客船)様式と直線が交わる外観はピュリスム建築の威風堂々。当初は3人の彫刻家の3邸宅を一つの敷地内に設計する計画だったが、実現したのはこの家と背後のジャック・リプシッツ邸のみ。
その結果、未建設の隣家と繋がる予定だった渡り廊下が屋外テラスになって残るのもユニーク。空中にそれが張り出す様は建物の重量感を視覚的に軽減し、ここにはないピロティの効果を生んでいる。
パリ南西のブローニュ=ビヤンクールの閑静な住宅街に、クリーム色の外壁、一角が曲面のパクボー(客船)様式と直線が交わる外観はピュリスム建築の威風堂々。当初は3人の彫刻家の3邸宅を一つの敷地内に設計する計画だったが、実現したのはこの家と背後のジャック・リプシッツ邸のみ。
その結果、未建設の隣家と繋がる予定だった渡り廊下が屋外テラスになって残るのもユニーク。空中にそれが張り出す様は建物の重量感を視覚的に軽減し、ここにはないピロティの効果を生んでいる。
家の中心はアトリエだ。高さ6mの吹き抜けに、北一面の窓が均一な光を巡らせ、現オーナーが特注したシャルロット・ペリアン風の連続棚が現代のリビング仕様の快適さを演出。ほか、キッチンとトイレ、小部屋が1階に。2階も寝室とシャワーと簡素な造り。
横長の窓が5原則の「水平連続窓」を想起させるリビングや、シンプルな寝室、そして窓際一面に設置されたテーブルが使い勝手の良い書斎など、ル・コルビュジエらしい居住空間を体感できるのは3階だ。最上階にある「屋上庭園」からは近接するリプシッツ邸の造形も間近に見て取れる。さらに、南向きの庭には別棟も。当初は作品保管用に建てられたというが、現在1階はアトリエ、半地下はサロンと寝室、ハマム付きシャワールームとして改装済み。ル・コルビュジエ作の小さな個人住宅として単体で売れそうなほど魅力的だ。
今日まで誠実に守られた〈ミスチャニノフ邸〉の建築意匠。誰が手に入れるとしても、類稀なるこの価値を未来に継承してほしい。
横長の窓が5原則の「水平連続窓」を想起させるリビングや、シンプルな寝室、そして窓際一面に設置されたテーブルが使い勝手の良い書斎など、ル・コルビュジエらしい居住空間を体感できるのは3階だ。最上階にある「屋上庭園」からは近接するリプシッツ邸の造形も間近に見て取れる。さらに、南向きの庭には別棟も。当初は作品保管用に建てられたというが、現在1階はアトリエ、半地下はサロンと寝室、ハマム付きシャワールームとして改装済み。ル・コルビュジエ作の小さな個人住宅として単体で売れそうなほど魅力的だ。
今日まで誠実に守られた〈ミスチャニノフ邸〉の建築意匠。誰が手に入れるとしても、類稀なるこの価値を未来に継承してほしい。
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