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注目の作家、坂本紬野子のアトリエへ。自由が丘の〈イデー〉で展覧会がはじまります。
December 8, 2023 | Design, Art | PR | photo_Masanori Kaneshita text_Mariko Uramoto editor_Keiko Kusano
まるで植物や野菜のような、はたまた建築物のような。日常で目にしたさまざまなものから着想を得て生まれた有機的な形と柔らかな色をまとった彫刻家の坂本紬野子(ちのこ)さんの作品。それらが作られる制作現場を訪ねました。
のんびりとした空気が流れる長崎県北松浦郡。ここに彫刻家・坂本紬野子さんのアトリエはある。ロンドンの美術大学を卒業した後、生まれ育ったこの地に戻って、アトリエを構えたのが2018年。以来この場所で作陶を続けている。
美大では彫刻科に在籍。陶芸を始めたのは、粘土という素材に出合ったことがきっかけだったという。
「陶芸の授業で粘土を使ったんです。自分の手という道具を使って、粘土をこねて積み重ねていくと頭に思い浮かんだ形ができる。その率直な表現に惹かれました」
美大では彫刻科に在籍。陶芸を始めたのは、粘土という素材に出合ったことがきっかけだったという。
「陶芸の授業で粘土を使ったんです。自分の手という道具を使って、粘土をこねて積み重ねていくと頭に思い浮かんだ形ができる。その率直な表現に惹かれました」
くるみ、アーティチョーク、パイナップルなど。どこかで見たことのある形を連想させる坂本さんの作品。
「頭の中に思い浮かんだ形を粘土を使って再現し、そこからスリムにしたり、太らせたり、バランスを見ながら形を完成させます。また、ひとつ作るとそこからどんどんアイデアが湧いてくる。丸の大きさを変えたり、バランスに変化をつけたり、いろんな形が伝言ゲームのように生まれてくる過程も面白いです」
生活空間にすっとなじむおだやかな色調も特徴。この独特のニュアンスは、釉薬をかける前に塗る化粧土に秘密があるという。
「食器用の釉薬を塗るときれいに仕上がってしまうのでしっくりこなくて。ルーシー・リーが化粧土を使っていたと知り、自分もやってみようと。やってみたら独特のニュアンスが出て、それがすごく良かった。日本では赤っぽい土の素地を白く見せるために使われることが多いですが、いくつか素材を調合した化粧土を塗ってから施釉すると、釉薬と反応して彫刻的な形に合う色調になるんです。以来この方法を続けています」
「頭の中に思い浮かんだ形を粘土を使って再現し、そこからスリムにしたり、太らせたり、バランスを見ながら形を完成させます。また、ひとつ作るとそこからどんどんアイデアが湧いてくる。丸の大きさを変えたり、バランスに変化をつけたり、いろんな形が伝言ゲームのように生まれてくる過程も面白いです」
生活空間にすっとなじむおだやかな色調も特徴。この独特のニュアンスは、釉薬をかける前に塗る化粧土に秘密があるという。
「食器用の釉薬を塗るときれいに仕上がってしまうのでしっくりこなくて。ルーシー・リーが化粧土を使っていたと知り、自分もやってみようと。やってみたら独特のニュアンスが出て、それがすごく良かった。日本では赤っぽい土の素地を白く見せるために使われることが多いですが、いくつか素材を調合した化粧土を塗ってから施釉すると、釉薬と反応して彫刻的な形に合う色調になるんです。以来この方法を続けています」
坂本さんは数年前から型を使った作品も手がけている。
「オブジェだけではなく、機能性のある作品も作ってみようと思って始めました。型を使うとはいえ、液状の粘土を型に流し込むのではなく、手で土を敷き込んで作っていくので、鋳込みの10倍ぐらいは手間がかかりますが(笑)」
型を使う理由は他にもある。かつてリサ・ラーソンやベルント・フリーベリ、ヴィルヘルム・コーゲらがアートピースを作る一方で、陶磁器メーカーと量産ラインのアイテムも作っていたと知り、自身も影響を受けたのだ。
上へ上へと積み重ねていく制作法で背の高い作品が多い坂本さん。今回は珍しく、球体のオブジェにもチャレンジした。シンメトリーな球体を作るにはろくろや型を使った方が確実だが、手びねりにすることで動物の卵のような有機的な形に。
「球体をテーマにした作家は数多くいるので、私だったら何ができるだろうかと。今回は存在感のある大きめの球体を作ってみました」
「オブジェだけではなく、機能性のある作品も作ってみようと思って始めました。型を使うとはいえ、液状の粘土を型に流し込むのではなく、手で土を敷き込んで作っていくので、鋳込みの10倍ぐらいは手間がかかりますが(笑)」
型を使う理由は他にもある。かつてリサ・ラーソンやベルント・フリーベリ、ヴィルヘルム・コーゲらがアートピースを作る一方で、陶磁器メーカーと量産ラインのアイテムも作っていたと知り、自身も影響を受けたのだ。
上へ上へと積み重ねていく制作法で背の高い作品が多い坂本さん。今回は珍しく、球体のオブジェにもチャレンジした。シンメトリーな球体を作るにはろくろや型を使った方が確実だが、手びねりにすることで動物の卵のような有機的な形に。
「球体をテーマにした作家は数多くいるので、私だったら何ができるだろうかと。今回は存在感のある大きめの球体を作ってみました」
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