DESIGN
デザインを通して世界を体感する『活動のデザイン』展
| Design | casabrutus.com | text: Takahiro Tsuchida
現在は、デザイナーがかかわる領域がものすごく広がっている。ものや空間を作るだけでなく、いろいろな問題解決や問題提起のためにデザインの力が活用されるようになってきた。こうした動きはすでに国境を越え、現代だけでなく近未来を視野に入れている。東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで10月24日から始まった『活動のデザイン』展は、こうしたデザインの最新形を伝える展覧会だ。
たとえばヒューマンズ シンス 1982の《ア・ミリオン・タイムズ》は、384個のアナログ時計がバラバラに動いてさまざまなパターンを作りながら、1分ごとにデジタル時計として時刻を表示。この作品には、デジタルとアナログのミックスによって、新しい価値や可能性(しかし時には混乱や混沌)を生み出す現代社会のあり方が象徴されているようだ。
またアフガニスタン出身のマスード・ハッサーニは、1960年代から技術的に進歩していないという地雷除去の新しい手法について考えている。この装置は竹と金属でできていて、風に吹かれて地面を進み、地中の地雷を安全に爆発させるという仕組み。2011年に試作品が発表され、現在も実用化に向けて開発が進んでいる。
他にも、ペットボトルと世界の手工芸を組み合わせた照明器具、すべてをシェアして生きる近未来の人間を描いた映像作品、建築家やデザイナーがごく身近な問題の解決策を提示するコーナーなど、常識を揺さぶるデザインが会場にはたくさん並んでいる。この展覧会を楽しむコツは、作品の意図を自分の頭で読み解いてみること。また体験型の作品も多いので、実際に触れたり覗いたりすることだろう。現代の世界を反映した発想や活動の魅力に、ハッとさせられるに違いない。
「活動のデザイン展」
〜2015年2月1日●〈21_21 DESIGN SIGHT〉
港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内 TEL 03 3475 2121。11時〜20時。火曜休(10月28日、12月23日は開館)。入場料1,000円。公式サイト