DESIGN
安西水丸とマティス、ふたりの共通点。
August 12, 2016 | Design | a wall newspaper | photo_Satoko Imazu text_Kana Umehara
安西水丸の作品集『ON THE TABLE』。藤本やすしがそこに発見したものとは?
イラストレーター安西水丸が1987年から91年にかけて個展のために制作したシルクスクリーンの作品。そのほとんどが未書籍化だったものを一冊にまとめた作品集『ON THE TABLE』が発売された。本誌アートディレクターである藤本やすしは、かつて安西氏と同じ出版社で働いた先輩後輩であり、互いに独立後も仕事仲間として刺激を受け合う関係だった。今回、改めて作品集を見てもらい、そこから浮かび上がる安西水丸のイラストレーションの本質について語ってもらった。
黒の使い方がふたりとも印象的。
Q ご覧になっていかがですか?
この年代特有のものかどうかはわからないけれど、ひとつひとつの絵のレイアウトが見事だよね。テーブルの上に3つのものをポン、ポン、ポンと置いただけのように見えるけれど、実はその置き方にかなりこだわりがうかがえる。ちょっとのズレも許さない感じ。レイアウトすることへのヒリヒリとした緊張感というのかな。一直線に引かれたテーブルのラインと置かれた3点をつなぐ三角形。それで構図を決めている感覚がある。やっぱり彼はデザイナーであり、レイアウターだったんだと再認識させられましたね。
Q 仕事などで依頼を受けて描くものと違い、個展の絵はより自由に、好きなものを好きなように描けたのかもしれませんね。
強烈に感じたのは、彼はマティスがすごく好きなんだなってことだね。この本を手にしてまず思い浮かんだのがマティスの画集『JAZZ』。カッティングのセンスだとか色使いだとか、水丸さんはこの雰囲気をかなり意識していたんじゃないかな。特に黒の使い方にこだわりを感じるよね。どのページも黒の入り方が印象的だから。塗りの黒が画面全体を引き締めている感じは、マティスにも水丸さんの絵にも共通している。あと、裏表紙に入っている水丸さんのサインもどことなくマティスの真似っぽくておかしいね(笑)。
この年代特有のものかどうかはわからないけれど、ひとつひとつの絵のレイアウトが見事だよね。テーブルの上に3つのものをポン、ポン、ポンと置いただけのように見えるけれど、実はその置き方にかなりこだわりがうかがえる。ちょっとのズレも許さない感じ。レイアウトすることへのヒリヒリとした緊張感というのかな。一直線に引かれたテーブルのラインと置かれた3点をつなぐ三角形。それで構図を決めている感覚がある。やっぱり彼はデザイナーであり、レイアウターだったんだと再認識させられましたね。
Q 仕事などで依頼を受けて描くものと違い、個展の絵はより自由に、好きなものを好きなように描けたのかもしれませんね。
強烈に感じたのは、彼はマティスがすごく好きなんだなってことだね。この本を手にしてまず思い浮かんだのがマティスの画集『JAZZ』。カッティングのセンスだとか色使いだとか、水丸さんはこの雰囲気をかなり意識していたんじゃないかな。特に黒の使い方にこだわりを感じるよね。どのページも黒の入り方が印象的だから。塗りの黒が画面全体を引き締めている感じは、マティスにも水丸さんの絵にも共通している。あと、裏表紙に入っている水丸さんのサインもどことなくマティスの真似っぽくておかしいね(笑)。
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