DESIGN
黒谷和紙作家・ハタノワタルの個展『とまる』で自らの想像力に対峙する。
September 30, 2021 | Design | casabrutus.com
| text_Aya Hasegawa editor_Keiko Kusano
東京・代官山の〈代官山ヒルサイドテラス〉内〈gallery ON THE HILL〉で、10月8日からハタノワタルによる個展『とまる』が開催される。
ハタノワタルは京都府綾部市を拠点とする黒谷和紙作家だ。京都府綾部市北部の黒谷地区は、800年もの歴史を有する和紙の産地。かつてこの地を隠れ里とした平家の落武者が紙漉きを始めたことがルーツとされる黒谷和紙は素朴な風合いが特徴で、丈夫で破れにくく長期の保存にも適している。ハタノはそんな美しさと強さを兼ね備えた黒谷和紙に魅了され、紙漉き職人として活動をスタート。2018年には自宅に念願の工房を構え、黒谷和紙を素材とした平面作品の制作から空間のデザイン施工を行う気鋭の作家として新たな和紙の可能性を追求しており、その活躍に国内外から関心が集まっている。
ほんの一例になるが、美しい日本家屋の〈ミナ ペルホネン金沢店〉、柳幸典がリニューアルを手がけている老舗旅館〈すみや亀峰菴〉など話題のスポットに和紙を提供。〈サポーズデザインオフィス〉が空間デザインを手がけたホテル〈hotel tou nishinotoin kyoto〉では、エントランスロビーに設置された、幾層にも重ねられた和紙の表面を削って仕上げた円盤の黒いテーブルのほか、アートワークも担当した。
ほんの一例になるが、美しい日本家屋の〈ミナ ペルホネン金沢店〉、柳幸典がリニューアルを手がけている老舗旅館〈すみや亀峰菴〉など話題のスポットに和紙を提供。〈サポーズデザインオフィス〉が空間デザインを手がけたホテル〈hotel tou nishinotoin kyoto〉では、エントランスロビーに設置された、幾層にも重ねられた和紙の表面を削って仕上げた円盤の黒いテーブルのほか、アートワークも担当した。
ハタノ作品は内に秘めた力強さを感じさせるのが特徴だ。代表作である「積み重なったもの」シリーズでは、和紙、土、顔料などが幾層にも重ねられ、長い年月をかけて積み重なってきたものの美しさを表現している。また、「黒も白も想像のきっかけになれるものを作っていきたい」と無彩色な作品も数多く手がけてきた。
今回の個展のタイトルである『とまる』には、自分の時間を一度止めて、立ち止まって考えてみようというハタノの想いが込められている。会場では無意識や想像力を導く黒い空間の闇を演出し、慌ただしい現代社会に生きる私たちが自分と向き合える場を創出。また、平面作品「積み重なったもの」シリーズや、天板に和紙を施したテーブルなどの販売を行う。奈良を拠点にあるべき光の在り方を追求する〈ニューライトポタリー〉による照明にも注目したい。
なお、10月9日の16時からは、デザイナーの皆川 明をゲストに迎え、「とまるー立ち止まって考える」をテーマにトークイベントを実施。モデレーターは建築家の榊田倫之が務める。
今回の個展のタイトルである『とまる』には、自分の時間を一度止めて、立ち止まって考えてみようというハタノの想いが込められている。会場では無意識や想像力を導く黒い空間の闇を演出し、慌ただしい現代社会に生きる私たちが自分と向き合える場を創出。また、平面作品「積み重なったもの」シリーズや、天板に和紙を施したテーブルなどの販売を行う。奈良を拠点にあるべき光の在り方を追求する〈ニューライトポタリー〉による照明にも注目したい。
なお、10月9日の16時からは、デザイナーの皆川 明をゲストに迎え、「とまるー立ち止まって考える」をテーマにトークイベントを実施。モデレーターは建築家の榊田倫之が務める。
『とまる』黒谷和紙作家 ハタノワタル展
〈gallery ON THE HILL〉東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラス F棟 1F。2021年10月8日~17日、作家在廊日は10月8日、9日。11時~19時(最終日は17時まで)。無料。10月9日のトークイベントは16時〜17時30分で実施予定。会場での参加を希望する場合は要予約。予約はhttps://galleryonthehill.peatix.com/から。オンラインでの視聴は〈gallery ON THE HILL〉Youtube公式チャンネルから。
ハタノワタル
1971年、淡路島生まれ。多摩美術大学絵画科油画専攻卒。2000年に黒谷和紙漉き師として独立を果たす。工芸のフィールドを中心に活動する傍ら、和紙を使った空間をデザイン、施工を行う。また国内外での展覧会で和紙の魅力を伝えながら、アート活動も並行して行っている。