DESIGN
ジョナサン・アンダーソンが語る「ロエベ クラフト プライズ」と新たな才能。
| Design, Art, Fashion | casabrutus.com | text_Naoko Aono
2016年、ロエベのクリエイティブ ディレクター、ジョナサン・アンダーソンが創設した「ロエベ ファンデーション 」はテキスタイル、陶器、磁器、ガラス、漆などさまざまなクラフトの才能を発掘しようという試み。5月25日にオンラインで受賞者が発表された第4回「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ」について、ジョナサン・アンダーソンが語ってくれた。
「ロエベ クラフト プライズ 2021」の大賞受賞者は?
第4回となる「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ」はコロナ禍のため昨年の開催を延期、5月からオンラインで開催されている。今回は100ヶ国、2500点を超える応募作品の中から6大陸、18ヶ国のアーティスト30名がファイナリストに選ばれた。その中から大賞に輝いたのは中国のリン・ファングル。数十センチの大きさのオブジェは白い綿布を結び、縫い、折るといった複雑な作業を3ヶ月以上も繰り返して作られたもの。中国雲南省のペー族に千年前から伝わる手仕事へのオマージュだ。
「この素材と技法でこれだけの大きさの作品を作るには、信じられないほどのエネルギーが必要なはず。見る者を包み込み、彼女の世界へと誘うモニュメンタルな作品です」とジョナサン・アンダーソンは言う。
特別賞にはチリのダビド・コルバランと日本の崎山隆之が選ばれた。コルバランの作品は銅線と樹脂によるもの。チリのアタカマ砂漠における銅採掘事業がテーマの一つだ。崎山は常に海の近くで暮らしており、受賞作《聴涛》は波や水の流れを陶によって現している。
「コルバランの作品は三次元の風景のよう。見る者に、深い虚空のような感覚を与えます。これまでに見たことのない新鮮な作品でした。崎山作品は陶による他の作品とはまったく異なるものです。今回は崎山さんを始め、日本の作家のレベルの高さが一際印象的でした」 (ジョナサン)
「この素材と技法でこれだけの大きさの作品を作るには、信じられないほどのエネルギーが必要なはず。見る者を包み込み、彼女の世界へと誘うモニュメンタルな作品です」とジョナサン・アンダーソンは言う。
特別賞にはチリのダビド・コルバランと日本の崎山隆之が選ばれた。コルバランの作品は銅線と樹脂によるもの。チリのアタカマ砂漠における銅採掘事業がテーマの一つだ。崎山は常に海の近くで暮らしており、受賞作《聴涛》は波や水の流れを陶によって現している。
「コルバランの作品は三次元の風景のよう。見る者に、深い虚空のような感覚を与えます。これまでに見たことのない新鮮な作品でした。崎山作品は陶による他の作品とはまったく異なるものです。今回は崎山さんを始め、日本の作家のレベルの高さが一際印象的でした」 (ジョナサン)
ロエベが新たなクラフト支援に挑戦。
惜しくも賞を逃した作家の中ではエドゥ・タリンとジャック・ドハティーの作品がジョナサンの記憶に残ったという。
「タリンの作品は石によるペンダントと彫刻のベースを組み合わせたもの。ペンダントとベースとがぴったりとはまる、ユニークなジュエリーです。ドハティーの陶は水を思わせる表面の質感がとても美しい。今回のファイナリストは若手からベテランまで幅広いものでした。作品も素晴らしく、毎年、回を追うごとに賞を選ぶのが難しくなってきています」(ジョナサン)
コロナ禍で彼自身もステイ・ホームを余儀なくされた。コロナ禍以前からアートやクラフトをコレクションしているが、パンデミックの間は新たな発見があったという。
「何年も前からコレクションと暮らしてきたけれど、ステイ・ホームの間はそれまで気づかなかったディテールに目が向くようになりました。僕の家の中で重要な一角を占めるアートやクラフトをじっくりと味わうことができ、コレクションがいろんなことを語りかけてくることにも気づきました。こういったものに囲まれているとオフィスで働いているときもインスピレーションを得られます。僕はとくに陶器にひかれるのですが、それは陶器がタイムレスだからだと思います。クラフトマンやアーティストはクリエイティブの力を再認識させてくれる、大切な人々です」(ジョナサン)
緻密な美を生み出す手の力が、難しい時代を生きる私たちを勇気づけてくれる。本来の展示会場だった〈パリ装飾芸術美術館〉の中を歩き回るようなリアルなオンライン展示で、新しいクラフトを楽しみたい。
また、新たな取り組みである「The Room」というデジタル形式のプラットフォームは、アーティストたちが自身の作品を世界に発信し、また世界中の人たちがその情報にアクセスし、アーティストにコンタクトを取ることができるというもの。クラフト支援というロエベの長年の挑戦を、さらに進化させた。
「タリンの作品は石によるペンダントと彫刻のベースを組み合わせたもの。ペンダントとベースとがぴったりとはまる、ユニークなジュエリーです。ドハティーの陶は水を思わせる表面の質感がとても美しい。今回のファイナリストは若手からベテランまで幅広いものでした。作品も素晴らしく、毎年、回を追うごとに賞を選ぶのが難しくなってきています」(ジョナサン)
コロナ禍で彼自身もステイ・ホームを余儀なくされた。コロナ禍以前からアートやクラフトをコレクションしているが、パンデミックの間は新たな発見があったという。
「何年も前からコレクションと暮らしてきたけれど、ステイ・ホームの間はそれまで気づかなかったディテールに目が向くようになりました。僕の家の中で重要な一角を占めるアートやクラフトをじっくりと味わうことができ、コレクションがいろんなことを語りかけてくることにも気づきました。こういったものに囲まれているとオフィスで働いているときもインスピレーションを得られます。僕はとくに陶器にひかれるのですが、それは陶器がタイムレスだからだと思います。クラフトマンやアーティストはクリエイティブの力を再認識させてくれる、大切な人々です」(ジョナサン)
緻密な美を生み出す手の力が、難しい時代を生きる私たちを勇気づけてくれる。本来の展示会場だった〈パリ装飾芸術美術館〉の中を歩き回るようなリアルなオンライン展示で、新しいクラフトを楽しみたい。
また、新たな取り組みである「The Room」というデジタル形式のプラットフォームは、アーティストたちが自身の作品を世界に発信し、また世界中の人たちがその情報にアクセスし、アーティストにコンタクトを取ることができるというもの。クラフト支援というロエベの長年の挑戦を、さらに進化させた。
