DESIGN
伝説の文字デザイナー、エド・ベンギャットを知っていますか?
| Design, Art | casabrutus.com | text_Mika Yoshida & David G. Imber
デザインしたタイポグラフィの数は、なんと600以上。昨年、惜しまれつつ他界した欧文書体のレジェンド、エド・ベンギャットをあらためて紹介しよう。
コカコーラにフォード・モーター、ニューヨークタイムズやエスクワイア。エド・ベンギャットという名は知らなくても、彼がデザインしたロゴや書体を見たことのない人間はまずいない。1970年代から続く長いキャリアで生み出した600を越すタイポグラフィーは、映画やTV番組のタイトル、本の表紙や広告ポスター、レコードやCDのアルバムジャケットなどあらゆる場所で、アメリカ人の目に触れてきた。
エド・ベンギャットの訃報を受け、この書体やロゴも彼だったのかと認識を新たにするアメリカ人も多い。大切なレコードや愛読書、親や祖父母が読んでいた新聞や、キッチンに置かれた食べ物のパッケージ。そこに書かれたロゴや書体は、無意識に刻まれた記憶の風景に他ならない。
エド・ベンギャットの訃報を受け、この書体やロゴも彼だったのかと認識を新たにするアメリカ人も多い。大切なレコードや愛読書、親や祖父母が読んでいた新聞や、キッチンに置かれた食べ物のパッケージ。そこに書かれたロゴや書体は、無意識に刻まれた記憶の風景に他ならない。
ベンギャットは1927年、ブルックリン生まれ。第二次世界大戦には戦闘機パイロットとして従軍し、帰還後はジャズ・パーカッショニストとして活動したというから面白い。高名なミュージシャンのウディ・ハーマンやスタン・ケントン率いるビッグ・バンドに参加し、全米のベスト・ドラマー第3位にランキングされた腕前を誇る。が、まだ小さい子供も抱えていた事もあり、不安定なミュージシャン稼業からは足を洗ってデザイナーの道へ。ベンギャットの父親は老舗百貨店ブルーミングデールズのウィンドウ・ディレクター。父の影響で、少年時代からデザインへの造詣は深かった。
現在アメリカを代表するタイポグラフィーの雄、ハウスインダストリーズが「エド・ベンギャット・プロジェクト」をスタートしたのは2003年のことだ。本人と協働し、デジタルで書体を制作した。ライセンス料を支払えば誰でもこの書体を使うことができる。過去の書体を単にデジタル化するのではなく、彼らしさ溢れる新時代のベンギャット書体を生み出すことに成功したのである。
現在アメリカを代表するタイポグラフィーの雄、ハウスインダストリーズが「エド・ベンギャット・プロジェクト」をスタートしたのは2003年のことだ。本人と協働し、デジタルで書体を制作した。ライセンス料を支払えば誰でもこの書体を使うことができる。過去の書体を単にデジタル化するのではなく、彼らしさ溢れる新時代のベンギャット書体を生み出すことに成功したのである。
今回、ハウスインダストリーズの代表アンディ・クルズはインタビューに答えこう語ってくれた。
「ザ・スミスのアルバムカバー(『ストレンジウェイズ、ヒア・ウイ・カム』)しかり、ネットフリックスのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』しかり、エドの仕事は今も昔もかわらず”美意識の守護天使”だ。僕がフォントというものを意識し始めるはるか以前から、エドの文字デザイン思想は言葉を超えた視覚的言語として心に訴えかけてきた。グラフィックデザイナーやブランドの創作意図を的確にとらえる彼の文字アートは、長年に渡り視覚文化そしてデザインの歴史を築いてきた。
ハウスインダストリーズがエド・ベンギャットと協働したフォントコレクションは、単なるデザイン・ヒーローとのコラボレーションではない。エドは僕らに文字への情熱、そしてタイポグラフィーへの深い洞察や知見を授けたのはもちろん、何よりも人生とアートを一つとして捉える物の見方を示してくれたのだよ」
「ザ・スミスのアルバムカバー(『ストレンジウェイズ、ヒア・ウイ・カム』)しかり、ネットフリックスのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』しかり、エドの仕事は今も昔もかわらず”美意識の守護天使”だ。僕がフォントというものを意識し始めるはるか以前から、エドの文字デザイン思想は言葉を超えた視覚的言語として心に訴えかけてきた。グラフィックデザイナーやブランドの創作意図を的確にとらえる彼の文字アートは、長年に渡り視覚文化そしてデザインの歴史を築いてきた。
ハウスインダストリーズがエド・ベンギャットと協働したフォントコレクションは、単なるデザイン・ヒーローとのコラボレーションではない。エドは僕らに文字への情熱、そしてタイポグラフィーへの深い洞察や知見を授けたのはもちろん、何よりも人生とアートを一つとして捉える物の見方を示してくれたのだよ」
ハウスインダストリーズ「エド・ベンギャットコレクション」
Script・Brush・Roman・Gothic・Interlock・Bengbats・Caslonの計7種類。使用ライセンス料は1フォントにつきデスクトップ用$75~(デバイス5台まで)、ウェブ用$125~(ページビュー125,000回以下)。パッケージ割引あり。
