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パンデミック直前のシリコンバレーの姿とは? 〈トッズ〉がリッツォーリから写真集刊行。
| Design, Culture, Fashion | casabrutus.com | text_Mio Koumura
”実在しない場所”として存在するシリコンバレー。その写真集がリッツォーリから刊行されました。企画したのはドライビングシューズで知られるイタリアの老舗ブランド〈トッズ〉。なぜシリコンバレーを題材に?テックジットが加速するなか、パンデミック前の景色を収めた写真は必見です。
スタートアップの聖地シリコンバレーは、アップルやグーグルといったIT大国アメリカを代表する大企業が本社を構えていることで有名な場所だが、地理的には”実在しない場所”として存在している。1971年にジャーナリストのドン・ホーフラー氏が週刊業界紙〈エレクトロニック・ニュース〉の記事でエリアを総称した言葉として表現したことで、”高度技術の環境空間”というような幻想の地として語り継がれることとなった同地。そんなシリコンバレーのリアルに迫る写真集が、〈リッツォーリ〉から刊行される。
同書はイタリアの老舗ブランド〈トッズ〉の研究実験の場《ノーコード》の一環として企画されたもの。2016年、ミラノ・ドゥオーモ広場を見下ろすレストランで開催されたトッズの会長兼CEOディエゴ・デッラ・ヴァッレとジャーナリストたちによる食事会でシリコンバレーが題材となった。当時の「彼らは私たちのことを何でも知っている。しかし、 私たちはシリコンバレーの生活の何を知っているのだろうか? 」というデッラ・ヴァッレの言葉を発端に、ミステリアスな同地の研究はブランドを通してのプロジェクトへと発展していったという。
同書はイタリアの老舗ブランド〈トッズ〉の研究実験の場《ノーコード》の一環として企画されたもの。2016年、ミラノ・ドゥオーモ広場を見下ろすレストランで開催されたトッズの会長兼CEOディエゴ・デッラ・ヴァッレとジャーナリストたちによる食事会でシリコンバレーが題材となった。当時の「彼らは私たちのことを何でも知っている。しかし、 私たちはシリコンバレーの生活の何を知っているのだろうか? 」というデッラ・ヴァッレの言葉を発端に、ミステリアスな同地の研究はブランドを通してのプロジェクトへと発展していったという。
撮影はニューヨークとカリフォルニア州クレモントを拠点に活動する、イラン系アメリカ人写真家ラマク・ファゼルが担当。2019年年末から6週間にわたりアナログカメラのローライフレックスで撮影されたビジュアル・エッセイは、日常生活を浮き彫りにするだけではなく、奇しくもその後パンデミックにより大きな変化を迎える同地の全盛最後の姿を映し出すこととなった。”テックジット”という言葉が生まれるほどに今、急速に変化を迎えつつあるシリコンバレー。その貴重なかつての日常に今、目を向けてみたい。

『シリコンバレー ノーコード ライフ』
全192ページ。US価格:$60.00。国内では紀伊國屋書店やアマゾンなどで入手可能(価格は店により変動あり)。
