DESIGN
【独占】デザインチームが語るアップルの新たなヘッドホン《AirPods Max》。
December 17, 2020 | Design | casabrutus.com | photo_Junichi Kusaka text_Nobuyuki Hayashi
12月、突如発表されたAirPods Maxは、アップルがオーバーイヤーヘッドホンを再発明しようと取り組んだ意欲的な製品。6万円強の価格にも関わらず、発表されるや人気色は3ヶ月待ちのバックオーダーとなった。デザインを行なったのはインダストリアルデザイン部門でハードウェアをリードするEvans Hankey(エヴァンス・ハンキー)と長年同社でデザインを担当するEugene Whang(ユージン・ワン)、製品担当マーケティングのBob Borchers(ボブ・ボーチャーズ)。膨大な試行錯誤が生み出したヘッドホンの新しい形、その開発ストーリーを3人に聞いた。
■ベターではなく、再創造
突如現れたかに見えるAirPods Max。だがエヴァンス・ハンキーによれば、その開発には長い年月が費やされ、その過程では数百種類もの試作品がつくられたという。
「ある製品カテゴリーに参入するチャンスは一度しかありません。だから、私たちはそれを最高のものにしたいと思っていました」
アップルには「難しい」と思われがちなテクノロジーを、デザインの力で親しみやすく変えてきた実績がある。しかし、AidPods Maxは、Apple Watchと同様、身につけるウェアラブルデバイスであり、パソコンやスマートフォンのデザインにはないチャレンジがある。
「色々な機能を備えたものを、いかに美しく、パーソナルで、しかも身につけたくなるものにするか」
「パワフルで没入感があり、なおかつ長時間つけていても快適で、音に溺れられるように」
ハンキーは取り組んできた課題の数々を振り返る。
長い試行錯誤を経て、ついにチームは、答えとなる形にたどり着く。他でもなくアップルの新規参入製品にふさわしい、単純なスケッチを描いただけで“それ”だとわかるアイコニックな形状だ。
「2つのポッド(さや)と、それをつなぐ頑丈で柔軟性のあるバンド。これが我々の目標になり、そこから最終的な形状や素材の検討に入りました」
ポッド、つまりイヤーカップはアップル得意の着色した酸化皮膜処理のアルミでつくった。ユージン・ワンはこのイヤーカップが、光をどのように反射し、どこにハイライトができ、色がどのように見えるかはすべて計算づくだと言う。
「ある製品カテゴリーに参入するチャンスは一度しかありません。だから、私たちはそれを最高のものにしたいと思っていました」
アップルには「難しい」と思われがちなテクノロジーを、デザインの力で親しみやすく変えてきた実績がある。しかし、AidPods Maxは、Apple Watchと同様、身につけるウェアラブルデバイスであり、パソコンやスマートフォンのデザインにはないチャレンジがある。
「色々な機能を備えたものを、いかに美しく、パーソナルで、しかも身につけたくなるものにするか」
「パワフルで没入感があり、なおかつ長時間つけていても快適で、音に溺れられるように」
ハンキーは取り組んできた課題の数々を振り返る。
長い試行錯誤を経て、ついにチームは、答えとなる形にたどり着く。他でもなくアップルの新規参入製品にふさわしい、単純なスケッチを描いただけで“それ”だとわかるアイコニックな形状だ。
「2つのポッド(さや)と、それをつなぐ頑丈で柔軟性のあるバンド。これが我々の目標になり、そこから最終的な形状や素材の検討に入りました」
ポッド、つまりイヤーカップはアップル得意の着色した酸化皮膜処理のアルミでつくった。ユージン・ワンはこのイヤーカップが、光をどのように反射し、どこにハイライトができ、色がどのように見えるかはすべて計算づくだと言う。
「我々はアルミとその酸化処理についてはかなり精通しており、その上に浮かぶ光と影についてもよく理解しています。イヤーカップは、アルミ素材と決まったからこそあの形になったのであって、他の素材ではおそらく違う形になっていました。素材と形状には切っても切り離せない関係があるのです」
一方、2つのイヤーカップをつなぐバンドは一見シンプルに見えるが、快適な装着感を実現するべくさまざまな機能が組み込まれている。例えばバンドはさまざまな頭の形状に対応できるように元の形に対して285%まで湾曲できる柔軟性を備えている。中央のキャノピーは頭にかかる負担が分散するように接触面積を大きくする形状。その上でムレないように通気性の高いメッシュの面を採用している。また良い音の上で何よりも大事な耳の密閉性を高めるために、伸縮するテレスコーピングアームやイヤーカップを回転させる機構が組み込まれていたりと多彩な機能を備えている。それに加えて左右のイヤーカップをつなぐ配線もこの中を通っている。
「これがどれだけ複雑な機構かは見ただけではわからないでしょう」とハンキーは語る。それに対してワンもこう付け加えた。「イヤーカップの内側はマグネットで着脱が可能なソフトなクッションが付いています。素材選びでは、我々が普段から肌身につけることに慣れている素材、身に着けることを好む素材を選びました。樹脂やビニールや人工皮革のような偽の素材ではなく、身に着けるためにつくられた本物の柔らかいファブリックを選んでいます」
こうしてできあがったAirPods Maxは、プロダクトとしての確かな存在感がありながら、一度、装着するとその存在が消えてしまうほど自然に頭に馴染む。
一方、2つのイヤーカップをつなぐバンドは一見シンプルに見えるが、快適な装着感を実現するべくさまざまな機能が組み込まれている。例えばバンドはさまざまな頭の形状に対応できるように元の形に対して285%まで湾曲できる柔軟性を備えている。中央のキャノピーは頭にかかる負担が分散するように接触面積を大きくする形状。その上でムレないように通気性の高いメッシュの面を採用している。また良い音の上で何よりも大事な耳の密閉性を高めるために、伸縮するテレスコーピングアームやイヤーカップを回転させる機構が組み込まれていたりと多彩な機能を備えている。それに加えて左右のイヤーカップをつなぐ配線もこの中を通っている。
「これがどれだけ複雑な機構かは見ただけではわからないでしょう」とハンキーは語る。それに対してワンもこう付け加えた。「イヤーカップの内側はマグネットで着脱が可能なソフトなクッションが付いています。素材選びでは、我々が普段から肌身につけることに慣れている素材、身に着けることを好む素材を選びました。樹脂やビニールや人工皮革のような偽の素材ではなく、身に着けるためにつくられた本物の柔らかいファブリックを選んでいます」
こうしてできあがったAirPods Maxは、プロダクトとしての確かな存在感がありながら、一度、装着するとその存在が消えてしまうほど自然に頭に馴染む。
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