古陶を思わせる、侘びた色と素朴なカタチ。タナカシゲオ陶展@木と根|輪湖雅江の器とごはん
| Design, Food | casabrutus.com | photo_Makoto Ito text_Masae Wako
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タナカシゲオの「器とごはん」。左上から反時計回りに、《オンギ面取鉢》×万願寺唐辛子のおかか和え、《オンギ十角盤》×のらのわ鶏のたたき、《黒伊羅保祭器形鉢》×マコモダケのきんぴら、《堅手カップ》×レンコンボールと三つ葉の吸い物、《白瓷リム豆鉢》×キュウリの糠漬け、《オンギ角豆鉢》×シソノ実の醤油漬け、《堅手耳付豆鉢》×昆布の醤油煮、《堅手台皿》×サトイモのから揚げ。中央は《オンギリム小鉢》×柿とキク菜の白和え。

個展は京都の〈木と根〉で12月15日から。左上から反時計回りに《オンギ面取鉢》5,000円、《オンギ十角盤》直径27〜28cm 15,000円、《黒伊羅保祭器形鉢》20×13×高さ15.5cm 10,000円、《堅手カップ》4,500円、《白瓷リム豆鉢》3,500円、《オンギ角豆鉢》2,800円、《堅手耳付豆鉢》3,000円、《堅手台皿》 直径19cm 10,000円。中央は《オンギリム小鉢》直径16cm×高さ2.8cm 4,000円。展覧会情報は文末に。

昔から料理好きだったというタナカシゲオさんと妻の佐智子さん。江戸中期の建物を自分たちで改装し、お子さんと、3匹の猫とともに暮らしている。モルタルの床を剥がして土間にした台所には、レンガを積んで自作した竈(かまど)やロケットストーブ、改装の際に現れた六角形の井戸も。

奈良県の明日香村は、7世紀に日本の中心地として栄えた飛鳥京があった土地。日本最古の大仏が安置された「飛鳥寺」や、蘇我馬子の墓とも言われている「石舞台古墳」、極彩色の壁画で知られる「高松塚古墳」など、1400年前の史跡が残っている。

敷地は旧街道沿いの集落にあり、すぐそばには飛鳥川の源流も。庭や離れで過ごしていると心地いい水音が聞こえてくる。

器の成形をするための工房は、19世紀半ばにアメリカの開拓者が考案した“ストローベイルハウス”の工法で自作。アスファルトで基礎をつくり、レンガ状にした藁を積み上げ、内側を土壁、外側を漆喰で塗り、最後に屋根をのせた。柱はなく、壁だけで約50cmの厚みがある。

堅手の台皿。「堅手」と呼ばれる焼物は、堅く締まった印象と少し灰色がかった白が特徴。タナカさんは日本の土と韓国の土を自ら調合して堅手をつくっている。

鉄分の多い黒釉を使った「オンギ」の器。右下のオンギ十角盤は、おかずとごはんを一緒に盛り付けるワンプレートにも使っているそう。

堅手台皿。李朝の器にも似た、静かで品のある佇まい。

食器をつくることが多いが、個展の際には壺や花器も並ぶ。
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