DESIGN
『カイ・フランク』展、彼がデザインの良心である理由|土田貴宏の東京デザインジャーナル
September 27, 2019 | Design, Art | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Takahiro Tsuchida
葉山にある〈神奈川県立近代美術館〉で始まったカイ・フランクの回顧展は、20世紀のフィンランドを代表するガラスや陶磁器のデザイナーとして著名な彼の作風を、幾何学形態をテーマに読み解こうというものだ。「フィンランド・デザインの良心」と広く評される彼の本質を、独自の切り口で伝えている。
〈イッタラ〉や〈アラビア〉のテーブルウェアのデザイナーとして、カイ・フランクは日本でも知名度の高い存在だ。そして彼についての説明には、国内外を問わずいつも「フィンランド・デザインの良心」(Conscience of Finnish design)という言葉がついてまわる。神奈川県立近代美術館の『カイ・フランク』展を観ると、この形容が彼のどんな性格に基づいたものなのかに納得させられる。
展覧会を構成する最初の部屋では、中央にカイ・フランクによる6つの作品が展示されている。彼のデザインに頻繁に用いられた6つの形態である丸、楕円、円柱、円錐、四角、三角を象徴するものだ。さらに展覧会のメインとなる次の展示室では、6種類の幾何学形態をさまざまに発展させ、組み合わせることで、豊かな機能を持つデザインにしていった流れを伝える。この展覧会の原型になったのは、2018年にフィンランドで行われた『KAJ FRANCK & GEOMETRIA』展だが、今回は展示品数をほぼ2倍に増やして再構成したものだ。
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illustration Yoshifumi Takeda
土田貴宏
つちだ たかひろ デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。
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