DESIGN
インタビュー:アイビー・ロスに聞く、Googleのデザイン哲学。
| Design | casabrutus.com | photo_Manami Takahashi text_Keiko Kusano
スマートフォンやスマートスピーカーなどを「Made by Google」として自社ブランドで発表するようになったGoogle。そのデザインにはどのような哲学が込められているのか? Google ハードウェア部門のバイス・プレジデントでデザイナーのアイビー・ロスに話を聞きました。
―私たちがGoogleというブランドをイメージしたときに真っ先に思い浮かべるのは青・赤・黄・緑のカラーリングのロゴです。しかし、最近、続々とリリースされているハードウェアには、異なるカラーパレットが使用されていると感じます。これにはどのような意図がありますか?
Googleはハードウェア開発にあたっての全体のコンセプトとして「Designed for Life」を掲げ、「Useful」「Simple」「Beautiful」なデザインを目指しています。たとえば《Google Home Mini》であれば、子供部屋やリビングルームに置いていただくものであり、そうであればポップなカラーリングも良いと思います。一方、スマートフォンであればプレミアム感を大切にして、より洗練された落ち着いた色を用いています。このように、プロダクトならではの適切な色を追求していますので、ロゴのような原色系にこだわる必要はないのです。
Googleはハードウェア開発にあたっての全体のコンセプトとして「Designed for Life」を掲げ、「Useful」「Simple」「Beautiful」なデザインを目指しています。たとえば《Google Home Mini》であれば、子供部屋やリビングルームに置いていただくものであり、そうであればポップなカラーリングも良いと思います。一方、スマートフォンであればプレミアム感を大切にして、より洗練された落ち着いた色を用いています。このように、プロダクトならではの適切な色を追求していますので、ロゴのような原色系にこだわる必要はないのです。
―スマートフォン《Google Pixel 3》についてお伺いします。初めて手にした時に、これまでのモデルに比べて、とても洗練された印象を持ちました。どのようなデザインを行っていったのでしょうか。
私たちの日常に欠かせない携帯端末のあるべき姿とはどういうものなのか――それを考え、まずは生活に製品自体がぴったりと適合することを想定してデザインに取り組んでいきました。
従来のテクノロジー製品というと、輝いていたり、何か目立って際立つようなものというイメージがあったかもしれませんが、私たちの「Designed for Life」というのは、あくまでもこれを使う人々の日常、環境に製品自体が馴染んでいくことが重要だと考えています。
たとえば、《Google Pixel 3》では、「触覚」をとても大事にしています。触るとよりわかりやすいのですが、スマートフォンを手にした時に背面にはマットな質感の部分とグロッシーな光沢感を持つ部分があります。マットな部分はちょうど手に持つ部分なので、なるべく機能面を考えて指紋がつかないように、特殊な「オプティカル フォトレジスト手法」を施しマットな質感をキープしています。一方で、触る必要のないところには光沢感を持たせているのです。
私たちの日常に欠かせない携帯端末のあるべき姿とはどういうものなのか――それを考え、まずは生活に製品自体がぴったりと適合することを想定してデザインに取り組んでいきました。
従来のテクノロジー製品というと、輝いていたり、何か目立って際立つようなものというイメージがあったかもしれませんが、私たちの「Designed for Life」というのは、あくまでもこれを使う人々の日常、環境に製品自体が馴染んでいくことが重要だと考えています。
たとえば、《Google Pixel 3》では、「触覚」をとても大事にしています。触るとよりわかりやすいのですが、スマートフォンを手にした時に背面にはマットな質感の部分とグロッシーな光沢感を持つ部分があります。マットな部分はちょうど手に持つ部分なので、なるべく機能面を考えて指紋がつかないように、特殊な「オプティカル フォトレジスト手法」を施しマットな質感をキープしています。一方で、触る必要のないところには光沢感を持たせているのです。
―下部のマットな部分と上部のグロッシーな部分は、デザイン的にも印象に残るツートーンですが、比率はどのように決定されたのでしょうか。
まさに、それは見極めが困難な課題でした。背面には指紋センサーとカメラとフラッシュがあります。指紋センサーの位置を変えることでグロッシーな部分の面積を増やすことも可能ではありましたが、最終的にこの配分となりました。つまり指が触れる必要のないところはグロッシーにし、手で握る部分はマットにしたのです。グロッシーな部分にはカメラのレンズ、フラッシュがあります。最先端のカメラをそのままのクオリティで使っていただけるように、レンズに自然と指が触れないようなデザインとなっています。また、サイドの部分はボタンが終わる部分から光沢を持たせています。これも指がボタンに触れることを想定したデザインです。
―なるほど、質感からユーザーの動作をさりげなく促し、機能的なデザインになっているわけですね。ところで、このマットな質感はとてもすべすべしていて触り続けたくなるような気持ち良さがあるのですが、特別な加工方法が用いられているのでしょうか?
Google 独自のソフトタッチガラスはなめらかで、もともと指紋による汚れをつきにくくする効果もあるのですが、パートナー企業との協力によって、特殊な「オプティカル フォトレジスト手法」を開発し、背面全体ではなく部分的にマットな表面テクスチャーを加えることを可能にしました。私はジュエリーデザイナーのキャリアを持っていますが、サンドブラストのような加工に少し似ているかもしれませんね。工場側と密に折衝しながら仕上げていきました。
まさに、それは見極めが困難な課題でした。背面には指紋センサーとカメラとフラッシュがあります。指紋センサーの位置を変えることでグロッシーな部分の面積を増やすことも可能ではありましたが、最終的にこの配分となりました。つまり指が触れる必要のないところはグロッシーにし、手で握る部分はマットにしたのです。グロッシーな部分にはカメラのレンズ、フラッシュがあります。最先端のカメラをそのままのクオリティで使っていただけるように、レンズに自然と指が触れないようなデザインとなっています。また、サイドの部分はボタンが終わる部分から光沢を持たせています。これも指がボタンに触れることを想定したデザインです。
―なるほど、質感からユーザーの動作をさりげなく促し、機能的なデザインになっているわけですね。ところで、このマットな質感はとてもすべすべしていて触り続けたくなるような気持ち良さがあるのですが、特別な加工方法が用いられているのでしょうか?
Google 独自のソフトタッチガラスはなめらかで、もともと指紋による汚れをつきにくくする効果もあるのですが、パートナー企業との協力によって、特殊な「オプティカル フォトレジスト手法」を開発し、背面全体ではなく部分的にマットな表面テクスチャーを加えることを可能にしました。私はジュエリーデザイナーのキャリアを持っていますが、サンドブラストのような加工に少し似ているかもしれませんね。工場側と密に折衝しながら仕上げていきました。
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